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    強制不妊 書面のみで「適当」

    • 県が公開した優生保護審査会に関する書類。遺伝調査書や「本人は手術を希望したることなく」と書かれた文書もある
      県が公開した優生保護審査会に関する書類。遺伝調査書や「本人は手術を希望したることなく」と書かれた文書もある

     ◇5人 県の優生保護審査会開かれず

     旧優生保護法下で、知的障害者らが不妊手術を強制された問題で、手術の決定に必要な県の優生保護審査会が開かれず、5人について書面審査だけで「適当」と決定していたことが、読売新聞の情報公開請求でわかった。書類だけの「持ち回り審査」と呼ばれるケースは、読売新聞の調査で三重県や福岡県など、少なくとも6道県の18人で確認されている。(岡本輝之)

     国の統計では、全国で不妊手術を強いられた1万6475人のうち、県内では20人に行われたとされる。県は、県の優生保護審査会が手術対象と決定したのは37人と確認している。

     県は今月上旬、県医師会長や地裁判事、県立医大教授ら審査会委員の名簿や、手術の適否決定通知書など、1949年度以降の審査会全体に関する文書892枚を公開した。県情報公開条例に基づき、手術対象者の氏名や健康診断書などは非公開で、全面的に黒塗りの文書もあった。

     このうち53、54、56年などの手術の適否決定に関する文書などに記載された計5人について、県立医大病院の医師らが「症状により急を要するので審査会を省略してよろしいか」などと「適当」の通知書を添えて手術を申請し、委員の印鑑やサインが残されていた。また、持ち回り審査を打診する文書が1人について確認されたが、決定通知書は残っていなかった。

     ただ今回の5人が実際に手術をされたかは不明で、37人全体でも1人しか実施書類は見つかっていない。

     旧優生保護法は本人の同意がない手術の適否は、都道府県の優生保護審査会の審査を義務付け、同法施行令は「委員総数の2分の1以上の出席がなければ議事を開き、議決することができない」とした。一方、旧厚生省が53年に持ち回り審査を「適当ではない」と各都道府県に通知するなど、当時から問題視されていた。

     荒井知事は13日の定例記者会見で、持ち回り審査について「緊急性があったかもしれないが、望ましくない手法。関係者から申し出があれば誠実に対応したい」と述べた。

     強制不妊手術に関する問い合わせは、県健康推進課(0742・27・8661)。

     <優生保護法> ナチス・ドイツの断種法にならった戦前の「国民優生法」を引き継ぐ形で、「不良な子孫の出生防止」を目的に1948年に施行。知的障害者や精神疾患患者らに不妊手術を行う根拠となり、都道府県の審査会が認めれば本人同意も不要とされた。96年に母体保護法に改正され、強制不妊手術の条文などは削除された。

    2018年06月14日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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