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    アライグマ我がもの顔

    • 5月に捕獲されたアライグマ。物をつかむのに適した前脚の形状が特徴だ(池田市で)
      5月に捕獲されたアライグマ。物をつかむのに適した前脚の形状が特徴だ(池田市で)
    • アライグマが食べたとみられるキュウリ。鋭い爪でほじくったような跡がある(能勢町で)
      アライグマが食べたとみられるキュウリ。鋭い爪でほじくったような跡がある(能勢町で)

     ◇府内相次ぐ被害人にまで

     アライグマによる被害が府内で深刻になってきた。農作物を荒らされるケースが増え、今年は過去に報告のなかった人に危害が及ぶ例も出ている。府は今年度、生息数の調査を始めるが、被害を減らす最大の武器ともいえる捕獲用オリは不足気味で、対応は後手に回っている。(久場俊子)

    ■被害の爪痕

     「間もなく収穫、というタイミングでやられる」

     中身を爪でほじったような跡が残るキュウリを手に、能勢町の山崎聡子さん(30)は憤る。この食べ方は、人の手に似た長い指を持つアライグマ特有のものだ。

     繁殖期のこの時期に活動が活発になり、各地で被害が報告される。田畑や山林が広がる同町では、2012年度の農業被害額は約500万円で府内最多だった。府全体では10年前の3倍となる2239万円に上る。

     昨年もトマト約50個が台無しになったという山崎さんは、町からオリを借りて設置した。「捕まえるとかわいそうと言ってられない」

    ■爆発的な繁殖力

     相次ぐ被害の背景には、驚異的な繁殖力がある。一対のペアがいると、15年後には3000頭以上になるとの試算があるほどだ。環境省によると、1991年度の全国の捕獲数は9頭だったが、2006年度は1万頭を突破した。

     環境も繁殖を促す。原産地の北米ではピューマやワニなどの天敵がいるが、日本の在来種はおとなしい動物が多い。一方、アライグマは相手をつかむとかみついて離れない「けんかの達人」と呼ばれ、凶暴だ。

     府の担当者も「キツネやタヌキでは、北米で強敵にもまれてきたアライグマとは勝負にならない。イシガメやサンショウウオが食べられる例もあり、在来種への影響が心配です」。

    ■遅れる対策

     「輸入が増えた頃から、持ち込むべきでないという声があったのですが……」

     アライグマの生態調査などを行う関西野生生物研究所(京都市)の川道美枝子代表は、ため息をつく。

     現在、最も有効な対策とされるのは、目撃したらすぐ捕獲用オリを置くことだ。しかし、オリは2平方キロ・メートルに1か所以上が理想とされ、被害自治体では数が足りていないという。

     女性がかまれるなど人的被害が2件発生した池田市は今月、府からオリ10台を借りた。所有の12台が貸し出し中だったからだ。

     農作物被害に悩む京都府舞鶴市は市全域の285か所にオリを設置。農業被害額が09年の283万円から昨年は11万円に減った。

     川道代表は「元々生態系になかった動物を持ち込むリスクの大きさを物語る問題。国の対応の遅れが問題を深刻にした」と指摘している。

     ◇アライグマ 1970年代にテレビアニメの影響でペットとして多数輸入された後、全国で野生化した。学習能力が高く、農作物や養鶏を食べたり、神社仏閣の屋根裏に住みついて柱などを傷つけたりする。国は2005年に外来生物法を施行、アライグマを特定外来生物に指定し、輸入・飼育を禁じた。

    2014年06月24日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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