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    ここから発信 滋賀の魅力

     ◇東京・日本橋 アンテナ店 29日オープン

    • 29日にオープンするここ滋賀(東京・日本橋で)=県提供
      29日にオープンするここ滋賀(東京・日本橋で)=県提供

     県が整備を進めてきた首都圏情報発信拠点「ここ滋賀」が29日、東京・日本橋にオープンする。2020年の東京五輪を見据え、国内外の注目が集まる東京で、滋賀の魅力が体感できる仕掛けにこだわったという。日本橋は各県が出店を進める〈アンテナショップ激戦地〉。近江牛をメインにしたコース料理など高級路線を打ち出すが、果たして思惑通りにいくのか――。(川本修司)

     

     ここ滋賀は、東京メトロ日本橋駅出口すぐにある2階建ての建物(屋上含め計約350平方メートル)を借りて整備。周辺で勤務したり、休日にショッピングで訪れたりする「上質さを求める女性」やビジネスマン、都内を観光する訪日客をターゲットに設定した。

    • ここ滋賀1階のイメージ図=県提供
      ここ滋賀1階のイメージ図=県提供

     1階は通行人の目に留まりやすいように、入り口近くに新鮮な県直送の野菜コーナーを設置。県内33蔵元の日本酒がそろう地酒バーに加え、品ぞろえを旬に応じて替えていく物販コーナーを展開する。観光情報や移住相談に応じる案内ブースもある。

     2階は県産食材が楽しめる和食ダイニングレストランで、ディナー用に近江牛がメインのコース料理(税別8500円)や、ふなずしの「飯」を使ったタレで食べる豚のしゃぶしゃぶ(同2500円)など高級メニューをそろえる。食器も信楽焼を用いるなど、とことん滋賀にこだわる。屋上はテラスでイベント開催などに活用する。

     オープンの総費用は約1億5000万円。県の試算では、開設後5年間で計52億円超の効果を想定し、賃借費などの経費に対し4倍近い費用対効果を見込む。

     県東京本部は「五輪という世界的なイベントを控える東京で滋賀のブランド力を高め、県産品のファンを増やして首都圏の販路拡大につなげたい」としている。

         ◇

     29日は午前10時半から現地で式典があり、県出身のジャーナリスト・田原総一朗さんと歌手・西川貴教さんが来店。小アユの天ぷらや近江茶などが振る舞われる。

     

     ◇飽和状態 問われる戦略

     東京・日本橋は近年、各地のアンテナショップが相次いで出店する「激戦区」だ。地域活性化センター(東京)によると、都内の独立型アンテナショップは54店舗(昨年4月時点)。なかでも日本橋周辺は福島や島根、長崎など9県の店舗がひしめき、滋賀で10店舗目となる。

     同じ日本橋で「奈良まほろば館」を運営する奈良県は近くに商業施設ができたこともあり、2014年度は目標の30万人に迫る入館者数を記録。売り上げも1億円を超え、「社寺ゆかりの人の講演を開くなど、奈良ならではのイベントで特色を出している」とする。

     一方、鳥取県は同年8月、新橋の「食のみやこ鳥取プラザ」を閉店。担当者は「単独運営であったことや、スペースも手狭で限界があった」と振り返る。現在は岡山県と「とっとり・おかやま新橋館」を新橋で共同運営し、「広くなってイベントも行いやすく、訴求力は高まった」と強調する。

     飽和状態とも言える自治体アンテナショップ。生き残るためには、どうあるべきなのか。

     上山肇・法政大大学院教授(都市政策)は「北海道や沖縄など知名度だけで他県と差別化できる自治体の店舗は別格。雇用状況のPRを交えて移住を勧めたり、複数県の観光周遊の窓口になったりなど、一歩踏み込んだ発想で埋没しないよう戦略を練ることが求められている」と指摘する。

     

     ◇知事公約 達成なるか

     ここ滋賀の出店事業は、三日月知事にとって、2014年の知事就任の際にまとめた政策提案集に記した公約の一つ。「東京へのブランド発信と観光PR」を掲げ、具体策として「東京での滋賀ブランドの発信機能や交流機能の強化(ゆめぷらざ滋賀見直し)」をうたっていた。

     「ゆめぷらざ滋賀」は東京・有楽町にある県の観光情報センターで、ここ滋賀オープン前日の28日に閉店する。立地に恵まれず、低迷を余儀なくされていたが、県の担当者は「一定の役割を果たした」とする。

     ここ滋賀の目標は今年度の来場者数18万7500人、売り上げ1億500万円。知事の任期満了まで1年を切る中、達成できた公約として成果たりえるのか、まずはこの目標をクリアできるかが問われることになりそうだ。

    2017年10月28日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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