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    <4 おわり>親子の居場所 地域に

     児童虐待に苦しむ子どもやその親を支えるために、何ができるのだろうか――。県内の児童虐待事情に詳しい社会福祉士の幸重忠孝さんと、子ども食堂などを通じて支援するNPO法人カズン(大津市)理事長の谷口久美子さん、子どもの心理治療を行う大津・高島子ども家庭相談センター(児童相談所)の児童心理司に話を聞いた。

     ◇社会福祉士 幸重忠孝さん

     児童虐待があっても、子どもが施設などで生活するようになる例はごくわずかで、多くは在宅支援の対象になる。家に戻らないといけないが、家庭状況は簡単には変わらず、子どもだけでは何も出来ない。

     虐待は家庭内で起こり、外から見えにくい。親は「自分も友人も親にたたかれて育った」という。その子どもも親の価値観しか知らずに育つ。どちらも虐待の自覚はないし、自覚しても恥ずかしくて「助けて」なんて言えない。第三者の視点が大事になる。

     虐待が起こる家庭の多くは孤立している。だからこそ、地域にできることがある。

     子どもや親の居場所づくりが各地で始まっている。親は子どもと数時間離れただけでほっとできる。気持ちと時間に余裕がないと、子どもに向き合えない。

     子どもに対して何より大事なのは、ちょっとした声かけだろう。地域の大人が毎日何か声をかけてくれる。そんな中で困っていることがぽろりと出る。一人じゃないと思える。地域の力にかけたい。

     ◇学校の力 大きいはず

     ◇NPO法人カズン理事長 谷口久美子さん

     子ども食堂には「自分の子どもにご飯を用意しない親がいけない」という声が寄せられる。でも、親を責めても解決しない。

     ある子どもは3食コンビニ弁当。別の子どもは自宅で食べられず、食堂でご飯をてんこ盛りにし、おにぎりを持てるだけ持ち帰る。勉強をみると、どこまで遡ればいいか分からないほど遅れていることが多い。

     外から見たらネグレクト(育児放棄)。でも、多くの親は自分の健康や稼ぎの不安で頭がいっぱいで、子どもに気を配る余裕がない。子どもは親を理解し、一緒に暮らしたいと思っている。

     学校では今、子どもは友だちだけの世界にいる。勉強などで格差を感じて自信を持てない。相談したくても、教員は多忙だ。

     地域にもっと門戸を開いてほしい。住民が伝統料理を教えたり、昔遊びをしたりして子どもを見守る。多様な大人の視点は子どもの様々な得意を見つけることができる。親以外の大人の生き方にも触れられる。子どもに一番身近な学校の力は、大きいはずだ。

     ◇声かけ 安心感与える

     ◇大津・高島子ども家庭相談センター 児童心理司

     児童虐待を受けると、子どもは「自分が悪い」と考え、自信を持てず、挑戦できなくなる。親の顔色を常にうかがい、トラウマ(心の傷)を抱え、人を信じなかったり、逆に誰でも近づいてしまったり、大人になっても他人とうまく接することが難しい。心身の不調も起こりがちだ。

     そんな子どもの回復のために、様々な専門的ケアがあるが、声かけの重要性を指摘したい。

     虐待を受けた子どもにとって、大人に見られる時は怒られる時。センターで何か遊び始める時、怒られないか必ず大人の反応を確認する。そうではないまなざし、ただ見守られるという経験が必要だ。

     その一つが声かけ。とぼとぼと登校する途中に「どうしたの」などと声をかける。見てくれる大人もいると知ることが、安心感につながる。傷ついた子どもは支援したいと思う大人も受け入れにくいが、この体験があると、受け入れやすくなる。

     そして、細く長く誰かとつながっていてほしい。電話をかけられる人や場所が一か所でもあるように。

    (この連載は生田ちひろが担当しました)

    2017年11月29日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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