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    <3>訪問看護 一番の味方

    • 由記子さん(右)と明日花ちゃん(中央)に寄り添う遠藤さん。そばで支える(守山市で)
      由記子さん(右)と明日花ちゃん(中央)に寄り添う遠藤さん。そばで支える(守山市で)

     守山市のアパートの一室。母の由記子さん(45)が長女の明日花ちゃん(9)を優しいまなざしで見つめていた。そばでは、看護師の遠藤百々さん(44)が体を拭いたり、部屋着を着せたりと身の回りのことを手伝う。

     明日花ちゃんは、難病「ミトコンドリアDNA枯渇症候群」を患う。四肢が不自由で、話すことができない。人工呼吸器を付ける。母子家庭のため、週4日、県立野洲養護学校小学部で学ぶ時以外は、由記子さんが常に介護している。

     2人の生活を心身ともに支えているのが、小児専門の訪問看護ステーション「ちょこれーと。」(野洲市)。明日花ちゃんを車椅子からベッドに移動することさえ1人では難しく、看護師の助けが欠かせない。週6日利用し、介助や入浴のサポートなどを受けている。

     由記子さんは自宅で過ごすことが多いため、地域からも孤立しがちだという。「困った時に頼れる人がいる、と思えるのは何よりも心強いです」。遠藤さんは「私こそ、2人からパワーをもらっています」と笑う。

     「ちょこれーと。」は障害者の入所施設などを運営する社会福祉法人「びわこ学園」が2005年に始めた。看護師らがケア児を中心に約40人の自宅を訪問するほか、夜間、早朝でも対応できるよう24時間体制で電話を受け付けている。

     訪問看護へのニーズは高まっている。

     厚生労働省によると、訪問看護ステーションを利用するケア児を含む15歳未満の子どもは、2007年の約3300人から17年は4倍以上の約1万4420人に増えた。

     一方で課題も多い。訪問看護が利用できる場所を、学校や外出先など自宅以外に広げてほしいという要望は強い。学校ではケアをする人がいないため、保護者が付き添いや待機を求められることが多いからだ。しかし、自宅以外の場合は医療保険が使えないため全額自己負担となってしまう。制度と現場のニーズにずれが生じている。

     「ちょこれーと。」では介護する家族が病気になるなどの緊急時にもきめ細かな対応をしている。多久島尚美所長(55)は「利用者が求めているものは一人一人違う。それに合わせた向き合い方をすることが大切」と話す。

     訪問看護師たちは、家族がふと漏らす不安や悩みを受けとめる。「一緒に泣いてもいい。一番の味方になってあげたい」。そう思いながら今日もケア児と家族が待つ自宅の扉を開ける。

    2017年12月15日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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