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    「反問権」首長、議員にズレ

    • 掛川市議会定例会本会議で行われた一般質問(掛川市議会事務局提供、2012年3月8日撮影)
      掛川市議会定例会本会議で行われた一般質問(掛川市議会事務局提供、2012年3月8日撮影)

     市長 「その点、議員はどう思われますか」

     議員 「私は最初から違法だとは言っておりません。違法とは言ってないんですよ、市長」

     2011年6月の掛川市議会定例会本会議の一般質問。答弁中の松井三郎市長が議員に逆質問する一幕があった。執行部側に議員への質問を認めた「反問権」と言われる制度を使ったのだ。

     議場は、首長ら執行部と議員が「議論する場」と思われがちだが、実際は違う。議員は執行部に質問や再質問ができるが、執行部からは議員に質問の根拠や趣旨、考え方を問い返すことができない。

     こうした一方的なやりとりでは町を活性化させる議論はできないと、同市議会は11年6月定例会から反問権を導入した。松井市長はこれまでに4回行使し、うち3回で質問を再確認し、残る1回で議員の考え方を尋ねた。松井市長は反問権で活発な議論をしたいと考えているが、「多用すると議会が萎縮する可能性もあって難しい。本格運用はこれからだ」と語った。

     反問権は執行部側には好評な制度だ。掛川市幹部は「これまで議員の質問内容が分からなかった場合、失礼ながら大体こんな感じかなと勘で答えたこともあったが、そんな対応はなくなる」と話す。別の市幹部は「執行部から問い返されてもいいように、議員がよく勉強するようになった」と歓迎している。

     議会での市と議員とのやりとりが分かりにくいと感じていた、掛川市の市民団体「地震で原発だいじょうぶ?会」の藤田理恵代表(56)は「反問権のような議論を活発にする制度を活用し、分かりやすい議会を目指してほしい」と期待する。

     ただ、県内で反問権を制度化するのは6市議会にとどまる。議場で議員に質問できない現状に不満を抱える首長は多い。

     島田市の桜井勝郎市長は昨年12月定例会本会議の一般質問で、議会のネット中継の実施を求める意見が議員から出た際、「反問権を認めろとは強くは言いませんけれども、議員の皆さんの一部の宣伝の場になられることはちょっと問題」と突っぱねた。

     桜井市長は発言の真意について、「議会をネット上で公開した場合、議員が自身の活動を示そうと、執行部を理不尽に攻め立てることも予想される。現状では反論できないので、反問権を認めていただき、公平な議論ができるようにすべきだ」と強調した。

     島田市議会では、議会基本条例の見直し論議の中で、反問権導入についても協議が進んでいる。

     ただ、議員側には消極的な考えもある。市議の一人はこう打ち明ける。「こちらは個人。大勢の職員を抱えた市長との情報量の差は歴然としている。まともに議論したら勝てるはずがない」

    2013年01月29日 21時52分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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