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    主婦が起業地元に恩返し

    特産鹿沼土を洗顔料に

    佐藤 香苗社長46 ウエルシーライフラボ

    ◎会社概要 2013年5月、宇都宮市にて創業。化粧品事業のほか、360度のパノラマ仮想ツアーが可能なホームページ製作も行う。14年6月に県フロンティア企業として認証されたほか、同年10月には化粧品「ベジリアブレンドローション」がとちぎデザイン大賞優秀賞を受賞。年商は約1000万円。従業員3人。

    • 会社は自宅兼用、起業のきっかけはキッチンからだった
      会社は自宅兼用、起業のきっかけはキッチンからだった

     さとう・かなえ 宇都宮市出身。京都芸術短大卒業後、積水ハウス宇都宮営業所に勤務。建築現場で工事の指揮を執ったこともある。夫(51)と長男(10)の3人暮らし。渓流釣りや夜釣りが趣味。

     地元素材を使った化粧品づくりに取り組むウエルシーライフラボ。佐藤香苗社長(46)は専業主婦から会社を起こし、10年の主婦経験から様々な商品を生み出してきた。女性の活用が叫ばれる中、全国商工会議所女性会連合会の「女性起業家大賞」奨励賞を受賞するなど、幅広く注目を集めている。地域活性化に向けた事業展開や女性が活躍する秘訣ひけつを聞いた。(聞き手・萩原栄太)

    特別賞を受賞 ――今年3月、県のビジネスプランコンテストで特別賞を受賞。2013年度の宇都宮市のコンテストでは最優秀賞を獲得している。

     「やってきたことを認めてもらえたことはうれしく、起業してから間もない会社には自信にもつながります。会社の信用や商品の価値も高まります」

     ――起業のきっかけは。

     「9年ほど前、出産を機に肌が非常に弱くなり、市販の化粧品が使えず悩んだ時期がありました。夫のアドバイスをもらい、自分で納豆の粘り成分をアルコールを使って抽出して化粧品を作りました。親戚やアトピー性皮膚炎に悩む友人たちに配ると好評で、口コミで広がりました。100人近くから感謝の言葉や製品化を求める手紙などが届き、やめるにやめられなくなりました」

     ――製品化は順調だったのか。

     「別々の容器に入った2液を混ぜるという新しいタイプの商品で、防腐剤や界面活性剤などの添加物も一切使っていません。そのため、容器の選定や安全性の確保だけでなく、薬事法など法的にもハードルが高いことがわかりました。県の薬務課などと話し合いつつ、起業セミナーに通いました」

    デザイン自作 ――会社は順調にスタートしたのか。

     「製品化してくれる企業を探しても、『その辺の主婦が何か言っているぞ』くらいにしか思ってもらえませんでした。そこで、会社設立後、自分で、化粧品製造業・製造販売業の許可を取りました。芸大出身の経験も生かし、ラベルや容器のデザインも自分で決めました。最後は頼み込んで、やっと製造してくれるところが決まりました。それで完成したのが主力商品のベジリアブレンドローションです」

     ――地元への貢献を掲げている。

     「起業を決めたきっかけの一つは東日本大震災でした。東京電力福島第一原発事故の影響で、県内産品への風評被害が起き、地元に何か恩返しができないか考えました。そこで、特産の鹿沼土を使った泡洗顔料マカロンクレイを地元企業と共同開発しました」

     ――なぜ鹿沼土に注目したのか。

     「鹿沼土には、肌の皮脂やにおいを吸着し、ニキビ予防に効く成分が含まれています。地元の素材ですし、化粧品にすることで、地域のお土産にもなります。園芸用に使えない小さい石も利用できるため、鹿沼土の価値を100倍、1000倍に高められます。鹿沼市のまちのおばあちゃんも戦時中に洗顔で使ったといい、『あんた、間違ってないよ』と太鼓判を押してくれました」

     「県内には全国に誇れるものがたくさんあるのに、魅力を十分に発信できていません。2020年の東京五輪に向けて、県内を訪れる観光客は必ず増え、お土産市場は拡大します。アジアの女性に注目したスーベニアコスメ(おもたせ化粧品)は欠かせません」

    栃木ブランド ――今後の商品開発については。

     「直販やギフト用の商品開発も行いますが、相手先ブランドでの生産が主流となります。6月には地元幼稚園と共同開発した紫外線(UV)カット化粧品も発売します。いずれも、大量生産、大量販売は考えていません。目指すのは県内に足を運んでもらい、地元で商品を買ってもらうことです。地元の人材、素材、技術を融合した栃木県発の統一した高級ブランドを輩出したいです」

     ――起業の難しさは。

     「資金調達が大変でした。国や県の補助金を活用しようとしても書類内容が難しかったり、提出資料が多かったりします。もっと簡素にすれば間口は広がります。何も起業に肩ひじを張る必要はありません。主婦の私でもできました」

     ――起業に必要なものは。

     「男性のビジネスパートナーがいるといいと思います。女性の言葉を男性社会にわかりやすく翻訳してくれるからです。実際、大手化粧品会社で働いていた夫の協力なしではここまでできませんでした。会社は自宅兼用ですが、企業は社会的責任を負いますから、家庭と仕事はできるだけ分けるようにしています」

    2015年04月06日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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