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    熱源は間伐材ウナギ養殖

    • 「良質なウナギを養殖し、山も守りたい」と語る小林社長
      「良質なウナギを養殖し、山も守りたい」と語る小林社長

     

    天然アユが大量に遡上そじょうし、アユの名所として全国に知られる那珂川。川の近くに店を構える林屋川魚店(那珂川町小川)は、アユの塩焼き、アユの甘露煮などの商品に加え、ウナギの販売にも力を入れる。5月には地域で出る間伐材などを熱源にした養鰻ようまん施設のボイラーが完成する。川に加え、山の資源を使ったウナギの養殖にかける小林博社長(50)に意気込みを聞いた。(聞き手・小堀日出春)

    ◆人気のアユ 

    ――間もなく那珂川にアユ釣りの季節がやってくる。那珂川の魅力は。

     「西の四万十川、東の那珂川と並び称される清流。アユの漁獲高は全国でも上位を誇ります。那珂川町周辺に著名な観光施設はないけれども、何もないところがいい。訪れた人たちは、ゆっくり、のんびりできると言っています」

     

    ――長年川魚を扱っている。大切にしていることは。

     「鮮度の良い魚をきちんと、ていねいに焼く――これが創業以来の姿勢です。父母の時代のお客さん、その子ども、孫の世代とのつながりを大切にしています。つながりの中でアイデアをいただいたり、指導していただいたりしています。アユやウナギの養殖に踏み切ることができたのも、人とのつながりがあったからです」

     

    ――自社でアユの養殖を行っている。

     「10年ぐらい前にアユの養殖を始めました。販売量に占める自社のアユは全体の4分の1程度です。養殖の過程ではねていた若いアユを、まかない用として食べてみたら、これがおいしい。その若アユの塩焼きを販売したら、人気商品になりました。『早月さつきあゆ』という名前で商標登録しました。新商品が出来たのは、自社で養殖していたおかげです」



    ◆絶品目指す 

    ――ウナギの養殖はどんな経緯で始めたのか。

     「4年ほど前、県北木材協同組合の東泉清寿理事長から、木材乾燥ボイラーの廃熱を利用した事業をやってみないかと持ちかけられました。仲間と検討した中の一つがウナギの養殖です。昨年、実証実験をやり、成功しました」

     「ウナギの養殖は水温28度が適温です。水を温めるのにコストがかかる寒い地域では養殖は難しい。しかし、間伐材や端材などを熱源にしたボイラーを使って光熱費を抑えれば、商売として成り立ちます。初期投資は重油ボイラーより高くつきますが、やっていくめどが立っています。間伐材を使うことで、町の6割以上を占める山林に価値が生まれ、地域を守ることができます」

     

    ――養殖規模と今後のスケジュールは。

     「ウナギをシラスから養殖します。3月には、昨年の実証実験の約10倍の10・3キロのシラスを購入できました。5月末に完成する養殖池で稚魚を育て、今年の10月から12月ぐらいまでに計10トン以上の水揚げを見込んでいます。夏バテ防止にも食べてほしいですが、ウナギは寒くなってからが脂が乗って食べ頃です」

     

    ――ウナギを自社養殖する強みは。

     「シラスの確保に不安がありますが、最先端の養殖池で育て、身がしまっていて、ほどよい軟らかさがある絶品を目指します。自社で養殖することでコストダウンを図り、適正価格で提供する方針です。東北方面への出荷も検討しています」



    ◆ホンモロコも 

    ――耕作放棄地を使って農家が養殖しているコイ科のホンモロコの販路拡大にも力を入れている。

     「ウナギと同様、地域の活性化につながることを期待しています。ホンモロコをもっと大型に育てることができれば、高級魚として売り出すことができます。生産者と大きく育てる方法を研究しています」

     

    ――中長期の夢は。

     「『足元を掘れ』をモットーに、自分の得意とする分野を伸ばしていく。人口減少社会の中で生産拡大をしていくために、海外でも勝負できる商品を開発し、挑戦していきたいと思っています」

    小林 博社長(50) 林屋川魚店


    ◎会社概要 父の小林保さん(77)が1964年、那珂川で漁師たちが捕ったアユを買い取り、小売り・卸売業を創業。那珂川、久慈川(茨城県)の釣り客へのおとりアユ販売、塩焼きなどの贈答品販売などで業績を伸ばし、86年9月に有限会社に。アユの養殖も手がけ、成魚前のアユを使った商品「早月さつきあゆ」を2012年に商標登録するなどアイデア商品が多い。創業当初から扱っていたウナギの白焼きも主力商品。10年に埼玉県川越市内にウナギ料理店「林屋川越店」をオープンした。昨年4月決算期の年間売上高約3億6000万円。従業員14人。

     
    こばやし・ひろし 那珂川町出身。1987年、専修大商学部を卒業後、家業に。2002年、2代目社長となった。町観光協会副会長、なかがわ元気プロジェクト連絡協議会副会長を務める。昨年、木材乾燥ボイラーの熱を使ったウナギ養殖の実証実験を成功させた。

    山林にも価値「地域守れる」

    かば焼き支出宇都宮は全国19位 総務省の家計調査によると、ウナギの価格高騰に伴い、かば焼きの購入額や回数は減少傾向が続いている。

     全国の、かば焼きに対する1世帯当たりの年間平均支出金額は2004年は3856円だったが、14年は2086円。100世帯当たりの年間購入回数も04年の378回に対し、14年は99回と大幅に減少した。かば焼きが、たまに食べる高級料理に変わってきていることがうかがえる。

     

    県庁所在地・政令指定都市別の12~14年平均支出金額では、養殖が盛んな浜松市がトップ。1世帯当たり4931円で、2位の京都市の3706円を大きく引き離している。全国平均は2105円、宇都宮市は19位で2216円だった。ブロック別では、近畿2814円、東海2707円、関東2206円、九州1322円、北海道937円などだった。

    2015年05月01日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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