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    ロケを地域の産業に

    • 足利市内で行われた撮影の様子(足利市提供)
      足利市内で行われた撮影の様子(足利市提供)
    • 足利市映像のまち推進課の壁には、これまでに撮影が行われた作品のポスターが貼られている
      足利市映像のまち推進課の壁には、これまでに撮影が行われた作品のポスターが貼られている
    • 蔵を活用して行われた映画祭(5月9日、栃木市で)
      蔵を活用して行われた映画祭(5月9日、栃木市で)

    ◆スタッフ宿泊と観光客で振興

     県内で、映画やドラマ、コマーシャルなどのロケを誘致する取り組みが効果を上げている。作品による知名度向上やスタッフの宿泊などによる経済効果に加え、ロケ地を巡る観光客も目立つようになってきた。足利市では撮影用のスタジオ誘致の構想も動き始めるなど、地域の産業にしようとする動きも出ている。(中村徹也)

    ■県にFC 

     映画などのロケが行われれば、作品による知名度向上に加え、スタッフの宿泊や食事などの経済効果も見込めるため、県は2006年に「県フィルムコミッション(FC)」を設立。県内の撮影適地を集め、映像会社に紹介するなどして誘致活動を行ってきた。

     スタッフが観光できる場所も伝えるなどしてアピールした結果、昨年度末までに864本の撮影があった。昨年度は72本の撮影があり、県内が主要なロケ地となった作品もあったことから、スタッフの食事や宿泊費などによる直接的な経済効果は1億7114万円に達したという。

     FCを担当する県観光交流課によると、県内は映像会社が集中する東京都に近く、高速道路や新幹線などの交通の便も良いため、移動時間が少なくてすむ利点がある。撮影側からも「撮影に時間がかけられる」といった声が寄せられているという。

     同課は、観光地でも全国には知られていない場所を売り込むなどして、県内への観光客増につなげたい考えで「県内で都市も田園の風景も撮影できることが強み。県内各地で撮影した『オール栃木ロケ』の作品を作るのが目標」としている。

    ■足利に推進課 

     足利市は昨年度、市役所内に「映像のまち推進課」を設置。ロケ地の売り込みだけでなく、下見に来たスタッフの案内、ホームページでのエキストラの募集や放送予定の紹介なども行って作品を支援。ドラマ「REPLAY&DESTROY」など47作品の誘致に成功した。

     さらに、市ホームページで作品のロケ地を紹介し、問い合わせにも応じるなど、誘客につなげる取り組みも行い、同課は「ロケ地を観光で訪れる人も増えている」と期待する。昨年8月には、同市で撮影され、12月に公開された映画「バンクーバーの朝日」のセットの見学会を行い、県内外から8000人以上を集めた。セットだけでなく、周辺を巡る人も多かったという。

     同市中心部にある料理店「樹洞うろ」では、多い日にはスタッフ100人分の料理を届ける。撮影予算は限られるため、大幅な売り上げ増にはつながらないというが、岩原暁康店長は「多くの人が足利に来てくれるのはうれしい。今月も2件の問い合わせがあった」と話す。

     同市の「ニューミヤコホテル」でも、冬場にスタッフ約80人が2か月間宿泊し、通常よりも売り上げが2~3割増えたという。ロケ地の見学に来た観光客の宿泊もあったといい、佐藤雅巳支配人は「宿泊以外に会議室の利用などがあり、経済効果が出ている実感がある」としている。

    ◆フィルムコミッション

     フィルムコミッション(FC)は映像会社にロケ地としての魅力をアピールするだけでなく、宿泊や食事の紹介なども行い、ロケを誘致する際に欠かせない存在になってきている。県内には11のFCがあり、撮影の誘致などを行っている。渥美清さん主演の映画「男はつらいよ」が撮影された場所が観光スポットになるなど、映像作品による観光への影響も大きい。

    ◆「蔵の街」栃木上映会も人気

     栃木市では、映像を、地域の魅力アップにつなげようとしている。同市は、市中心部に古い街並みが残ることから「蔵の街」として知られ、時代劇のロケ地にもなってきた。

     07年には、市内の蔵などで映画が観賞できる「栃木・蔵の街かど映画祭」を開催。県内外の作家の自主製作作品のコンテストも開き、1000人以上が訪れるイベントに成長した。

     市商工観光課は「蔵の風景は市独自のもの。ロケの誘致と合わせ、映画の上映などを通じて、市の魅力を伝えていきたい」としている。

    2015年06月05日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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