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    再生エネ・下

    • ビニールハウス内の養殖場で薪ボイラーについて説明する小林さん。ボイラーで温まった水が噴射しているのが見える(左)林屋川魚店で使っている薪ボイラー(奥)。1回に約1立方メートルの薪(手前)が入れられる(那珂川町で)
      ビニールハウス内の養殖場で薪ボイラーについて説明する小林さん。ボイラーで温まった水が噴射しているのが見える(左)林屋川魚店で使っている薪ボイラー(奥)。1回に約1立方メートルの薪(手前)が入れられる(那珂川町で)
    • ビニールハウス内の養殖場で薪ボイラーについて説明する小林さん。ボイラーで温まった水が噴射しているのが見える(左)林屋川魚店で使っている薪ボイラー(奥)。1回に約1立方メートルの薪(手前)が入れられる(那珂川町で)
      ビニールハウス内の養殖場で薪ボイラーについて説明する小林さん。ボイラーで温まった水が噴射しているのが見える(左)林屋川魚店で使っている薪ボイラー(奥)。1回に約1立方メートルの薪(手前)が入れられる(那珂川町で)

    ◇ 間伐材安くウナギ養殖/地元山林を有効活用

    ■那珂川町

     那珂川町小川のビニールハウスにあるプールで約5万5000匹のウナギが泳いでいた。水の温度はウナギの生育に適した28度に保たれている。「この水はまきでおこした火で温めているんですよ」。林屋川魚店の小林博社長(50)が教えてくれた。

     同社は今年6月、木質バイオマスを利用したウナギの養殖を始めた。長年販売してきたが、近年、ウナギの仕入れ値が急騰し、自前で育てることにした。

     課題は燃料費だった。水を温めるボイラーの重油代は年間500万円以上と見込まれた。一方、町の面積の約6割は山林で、「間伐材を使えば町の資源活用になる」と、木材を燃やして熱源にすることにした。

     日に2回、社員が1立方メートルの薪をくべる。薪を一度に入れすぎると不完全燃焼を起こすため、十分に温めてから入れるなど工夫が必要だ。深夜はバックアップ用に重油のボイラーを使うが、すべて重油を使う場合と比べ、光熱費は約半分に抑えられるという。

     「化石燃料は入れるだけで回り続けてくれるが、薪は労力がかかる。でも、地元の資源を使って安価にできるのが良い」と小林さん。10月には「自家製ウナギ」が店頭に並ぶ予定だ。

    • 県央浄化センターの発電機(上三川町で)
      県央浄化センターの発電機(上三川町で)

    ◇ 下水汚泥のガスから発電

    ■浄化センター

     県は今年、県内4か所の浄化センターに下水汚泥から発生するメタンガスを活用した発電所を設置した。

     浄化センターでは、汚泥を濾過ろかして水を川に放流している。残った汚泥は、有機物を分解し、脱水した後に処分される。この過程で発生するメタンガスはこれまで燃やして処分していたが、発電に活用することにした。

     上三川町多功の県央浄化センターでは4億4000万円かけてシステムを導入。1日約2200立方メートル発生するメタンガスを水素に変え、酸素と反応させて電気を生み出す仕組みで、2月から20年間の契約で売電している。

     同センターの発電機は3基で計315キロ・ワットの出力があり、県下水道管理事務所によると、年間1億円の売電収入があり、維持費を含めて8~9年で初期投資を回収できる見通しという。

    ◇ 太陽光小型も増加狙う

     大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設が進んだことを受け、県は今後、住宅などの小型太陽光発電設備を増やしたい考えだ。

     県によると、稼働している太陽光発電の設備容量は、2014年度末現在で76万キロ・ワット。固定価格買い取り制度が始まる前の11年度末現在(10万キロ・ワット)から7倍以上に伸びた。

     導入のために認定を受けた設備容量は約390万キロ・ワットに上り、県の30年度の導入目標(120万キロ・ワット)を既に超えている。

     東京電力は送電線の容量不足を理由に、昨年から一定規模以上の太陽光発電の買い取りを中断している。

     一方、小型設備について、県は30年度に新築住宅での設置率100%を目指しており、先月から施工トラブル対策として、実績のある業者をホームページで公開。今月からは、維持管理や採算性などを説明するセミナーを県内各地で始めた。

    ◇ 風力の適地少ない内陸 県内で固定価格買い取り制度を利用した風力発電はない。風力発電が事業として成り立つためには、風速6メートル以上の風が必要とされる。環境省の調査では、県内の潜在力は22万キロ・ワットで、北海道の約600分の1に満たない。群馬県は14万キロ・ワット、埼玉県は5万キロ・ワットなど、内陸は適地が少ない。

     また、風力発電所の設置には、大型の場合、事業者が動植物などへの影響を調べる環境調査や周辺住民の合意が必要な場合があり、県地球温暖化対策課は「採算がとれる事業として広まるのは難しい」とする。

    • 足利工業大の牛山泉学長
      足利工業大の牛山泉学長

    ◇ 市町の特色生かそう/足利工業大牛山泉学長に聞く

     ――県内の再生可能エネルギーの潜在力は。

     「太陽光、小水力、バイオマス、地熱は高い。冬の日照時間が長く、これを太陽光に生かさない手はない。小水力も農業用水の活用では群を抜いている。県土の約55%が森林で木材も豊富でバイオマスに生かせる。温泉の数も多く、地熱資源も豊富だ」

     ――県内の現状は。

     「固定価格買い取り制度の影響で、太陽光は急激に伸びた。他の発電と比べ、設置までの時間が短く、適地も簡単に見つかる。環境アセスメントや住民合意などの手続きも簡単だ。しかし、太陽光は24時間発電はできない。他の安定的な発電も普及させる必要がある」

     ――風力発電が普及しない理由は。

     「風力が事業として成り立つには一定以上の風力が、1年を通して吹き続ける必要があるが、内陸県で風は弱い。冬に局地風が吹く地点はあるものの安定的な地点はほとんどない」

     ――再生エネをいかに普及させていくべきか。

     「各市町がそれぞれの特色を生かして導入していくと良い。足利市では昔、水車が約500基回っていた。文化や歴史を背景に取り組んではどうか。イチゴのハウス栽培に地熱を使うなどのアイデアもあるだろう」

     「また、森林は間伐をしないと土砂崩れの原因にもなる。バイオマスに木材を積極的に使って間伐を促進するなど、国土強靱きょうじん化の一環としての性格を持たせることも重要だ」

    2015年08月28日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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