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    人口減対策各市町が本腰/地方創生への動き活性化

    • 人口減対策として保育士の確保が重要課題となっている(15日、宇都宮市陽西町の陽西保育園で)
      人口減対策として保育士の確保が重要課題となっている(15日、宇都宮市陽西町の陽西保育園で)

     政府が進める「地方創生」で、人口減少対策や地域活性化策などをまとめた地方版総合戦略と人口ビジョンについて、今月末までに県内全25市町が策定を終える。人口ビジョンでは、目標年までに2割以上人口が減る市町が15に上り、日光市と那須烏山市、那珂川町では4割以上減少する見通しとなっている。各市町では、総合戦略で掲げた定住や子育て支援のほか、雇用の促進や地域活性化策など新年度予算案に盛り込んでおり、地方創生に向けた動きが本格化する。(戸丸由紀子、萩原栄太、永井綾香)

     

     

     県内24市町(那須町は策定中)の人口ビジョンでは、目標年までに、2015年国勢調査と比べて人口が増加するのは高根沢町のみで、23市町で減少する。

     減少率が1割未満なのはJR宇都宮線沿線の宇都宮、小山、下野、野木の4市町だけ。一方、足利市や栃木市では3割以上減少する。県内市町で最大の下げ幅となる那珂川町は、合計特殊出生率を15年の1・40から40年以降に1・60に上昇させても半減となる。

     15年から3割以上増える高根沢町は昨年2月、「定住人口4万人構想」を策定した。町民からのパブリックコメント(意見公募)では、「高根沢町だけが増える可能性は低い」「見通しが甘い」といった否定的な意見もあった。

     同町の担当者は「宇都宮市に隣接した住宅地として潜在能力は高い。市街地が少なく、家屋が建てられないなど、土地利用のあり方に課題が浮かび上がったが、それらを町民で認識し、地域や暮らしを見直すきっかけになっている」と話している。

     

     定住促進策は人口減少対策の大きな柱となるため、各市町があの手この手を打ち出している。佐野市では女子学生、市貝町では新婚夫婦にターゲットを絞った施策を新年度から始める。

     佐野市は、市外から転入して大学や短大、専門学校に通う女子学生に家賃補助をする。19年度末までの事業で、4年制大学の場合、今春の新入生が卒業するまで支給される。学生の大半が女子の佐野短期大学が市内にあることや、20歳代の市外への転出率が高いことが背景にある。

     同短大も同市内に転居した学生に月額1万円の家賃補助をしている。定員割れが続く中、同短大の大橋渡事務局長は「大学の魅力も上げて、入学者増につなげたい」と歓迎する。同市は今月、大型商業施設や旅行会社などと協議会を設立。卒業後も同市が定住するよう支援策を検討していく。

     市貝町では、4月以降に結婚した町内在住者を対象に賃貸住宅の家賃を補助するほか、町の奨学金貸与者には未償還分を支給。転入者には町内の商店で使える商品券(1人あたり5000円分)を配布するなどバリエーションに富む補助策を展開。新婚・若者世帯の取り込みを図る。

     

     

     安心して子供を産んでもらうため、保育士の確保が課題となっている。宇都宮市は県と共同で、新年度に「保育士・保育所支援センター」を開設する。資格があっても働いていない「潜在保育士」の就職を促す。

     県社会福祉協議会に委託し、保育士資格を持つ経験者2人を「保育士人材コーディネーター」として配置。保育士の復職相談に応じ、保育所の求人希望を聞き、双方のマッチングを図る。

     県こども政策課によると、県内の待機児童数は昨年10月1日現在、前年同期比324人増の614人。一方、保育士は約1万9900人(1月末現在)が登録しているが、県内の保育所で働いている保育士は3割にとどまるという。

     乳幼児約140人を預かる宇都宮市の陽西保育園では、27人の保育士に加え、夕方の延長保育の時間帯にはアルバイトを2人雇う。栃木労働局によると、1月現在の県内の保育士の有効求人倍率は3・01倍で、全国平均の2・44倍を上回る。福田清美園長(62)は「ハローワークに求人を出してもなかなか集まらない」と話し、センターに期待を寄せる。また、下野市と那須烏山市は新年度から、保育士養成校に通う学生に月額3万円などの奨励金を交付する。小山市は15年度から同様の制度を導入している。

     

     

     人口減対策として、現物支給の子育て支援策を盛り込む自治体が増えている。

     壬生町は新年度、「子育て応援クーポン券」を支給する。一時預かりの保育料や任意の予防接種代、子育て関連商品の購入に使えるほか、「町おもちゃ博物館」の入館料にも充てることができる。

     市貝町は新たに、町内に工場がある「花王」と連携し、赤ちゃんに同社の紙おむつを贈る。真岡市も15年度から紙おむつの購入を助成し、新年度から対象年齢を1歳未満から2歳未満へと広げる。

     「どの街に住むか」を教育環境で選ぶ人も多く、自治体は学校に情報通信技術を取り入れるなど、特色作りにも力を入れる。

     野木町は、全小中学校(小学5校、中学2校)でタブレット端末を導入し、計235台を配布する。町は教員の研修を経て9月から授業で活用するという。

     那須町は新たに、小学校全7校と中学校全3校に電子黒板を配備。学校規模に応じて、各校1~3台を使用する。

     

     

    人口ビジョン 地方創生の総合戦略の基礎となる2060年を見据えた人口の将来像。10年の国勢調査の人口をベースに、性別や年齢階層別の人口移動率、出生率、産業構造などを分析し、推計値や目標値を算出する。自治体は将来の税収や社会保障需要など財政状況を勘案しながら今後の施策を決める。政府は60年に人口1億人程度を確保するビジョンを決定し、県も150万人以上の目標を打ち出している。

    2016年03月18日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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