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    コウノトリ 孵化近し

    • 立ち上がって、巣の中をくちばしでつつくコウノトリ(鳴門市で)
      立ち上がって、巣の中をくちばしでつつくコウノトリ(鳴門市で)

     ◇鳴門、20日頃にもヒナ誕生か

     鳴門市で営巣している国の特別天然記念物・コウノトリのペア(雄5歳、雌3歳)が抱卵を始めて約1か月になる。20日頃にも孵化ふかするとみられる。関係者はヒナの誕生に向け準備を進めており、「鳴門がコウノトリの生まれ故郷に早くなってほしい」と日に日に期待が高まっている。(皆川聡美、河合修平)

     15日午後、巣では1羽が卵を抱いていた。立ち上がって巣の中をくちばしでつつく行動がみられ、カメラや望遠鏡を持った人たちは熱心に観察していた。同市鳴門町の無職山瀬なみ代さん(66)は「卵を抱く様子に安心している。ヒナが生まれる日が待ち遠しい」と話した。

     県や地元農家などでつくる「コウノトリ定着推進連絡協議会」によると、最近は、雄と雌が交代で抱卵を続けており、2羽の関係も安定しているという。

     同協議会の竹村昇会長(64)は「ここまでくれば、あと数日で孵化するはず」と期待する。

     人工飼育など先進的な取り組みを行う兵庫県豊岡市の県立コウノトリのさと公園によると、抱卵開始から孵化までの日数は、過去の観察結果から平均して約31日という。鳴門市のペアは2月18日頃から巣に長時間伏せるなど本格的な抱卵を始めたと推定され、順調にいけば、3月20日頃には孵化するとみられる。

     同公園によると、コウノトリは、かつて各地に生息していたが、明治時代以降、激減した。生息する森林の伐採や、餌となるドジョウやカエルなどが水田の農薬使用でいなくなるなどしたためとみられる。国内の野生のコウノトリは1971年に、豊岡市での生息を最後に絶滅した。

     同公園は2005年に野生繁殖を進めるため放鳥を開始したが、現在、野外での繁殖は兵庫県北部とその周辺に限られている。

     鳴門市のペアは15年2月に同県北部から飛来し、レンコン畑近くの電柱に営巣した。16年3月に産卵が確認されたが、繁殖に失敗。

     協議会はその後、巣の近くに餌になる生き物が暮らせる「ビオトープ」を通年で設け、休耕田に水を張り、ドジョウなどがすめるようにした。孵化の成功に備え、ヒナを識別するための足環あしわを装着する研修も行っている。

     一方、孵化の期待が高まるにつれ、見学者も増えており、鳴門市は15日、観察地点に警備員3人を配置した。竹村会長は「トラブルや事故なく『ヒナ誕生』の明るいニュースが聞けるよう、静かに見守ってほしい」と呼びかけている。

    2017年03月16日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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