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    部下の介護離職防ぐ

     ◇県 「ファミボス」養成に力

     ◇両立支援制度 手引書で紹介

     県は、介護が必要な家族を持つ従業員の働き方に配慮する上司「ファミボス」の養成に力を入れることを決めた。県内では、介護を理由に仕事を辞める「介護離職」の割合が全国平均を上回っており、仕事と介護の両立は喫緊の課題だ。9、10月にはファミボス養成塾を開き、従業員の事情を早期に把握する仕組みづくりなどで両立支援の態勢を整える。(古賀愛子)

     「自分の親は自分で介護したい。妻に任せきりにはできない」――。今年初め、境港市の企業に勤めていた60歳代の男性は、総務担当者に抱えていた悩みを打ち明け、4月に退職した。

     同社では、2015年以降、男性を含め4人が介護を理由に退社した。会社は、男性の雇用を延長し、技術指導役としての活躍を期待していたといい、総務担当者は「重要な戦力で、引き留めたかったが、本人の人生を尊重した。親の介護が必要だったとは知らなかった」と漏らす。「介護の悩みは職場での様子からは分かりにくく、対応が難しい」

     総務省の「就業構造基本調査」(2012年)によると、県内で11年10月からの1年間に介護や看護を理由に退職した人は700人。退職者全体の2・76%を占め、全国平均(1・68%)を上回っている。

     県も15年度、県内の事業所を対象に調査を実施。12~14年度に従業員の介護実態を把握したかどうかについては、「自己申告等」と回答した割合が49・4%と最も多く、「特に把握していない」(38・7%)が続いた。介護休業の制度を導入すると「代替要員の確保が困難」(64・2%)、「他の従業員の負担が増える」(49・0%)と答えた企業が多く、両立支援の難しさが浮き彫りになった。

     県によると、企業からは「経営者側からはアプローチしにくい」「自社の制度しか紹介できない。自治体のサービスや他社の事例などを助言してくれる人がいると助かる」との声が聞かれるという。

     県は、ファミボスを増やし、不本意な形で離職せざるをえない状況を減らしたい考えだ。7月には、経済、労働団体などと普及推進委員会を発足させ、利用可能な支援制度を紹介した手引書を作成。男性従業員に介護休暇などを取得させた事業所への奨励金制度も設けた。今月26、28日と10月18日には、県内3市でファミボス養成塾も開く。

     県議会9月定例会にも関連費用82万円を含む予算案を提出予定で、県はさらに取り組みを加速させる方針だ。担当者は「介護を理由に仕事を諦めるのは、本人にとっても企業にとってもマイナス。そうなる前に、当事者と企業がともに両立の方法を考える環境を作っていきたい」としている。

    2017年09月14日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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