文字サイズ

    鳥大70年で「強力米」作り

    • 酒米「強力」の苗を植える学生ら(鳥取市湖山町南で)
      酒米「強力」の苗を植える学生ら(鳥取市湖山町南で)

     ◇農学部生ら 来夏の式典祝い酒に

     ◇再生紙で雑草防ぎ 今秋収穫

     鳥取大農学部(鳥取市湖山町南)の学生たちが、かつて同大学が栽培復活に貢献した県独自品種の酒米「強力ごうりき」を使った日本酒造りに取り組んでいる。来年の大学創立70周年を記念した事業の一環。学生たちは「卒業生や関係者の皆さんと、笑顔で乾杯できるお酒をつくりたい」と意気込んでいる。(河合修平)

     強力は、明治時代中頃から県内で生産が始まった。粒が大きく、酒米に適していたことから、1921年には県が奨励品種に指定し、栽培を促した。ただ、稲の丈が1.4メートルほどと長く、風で倒れやすいなどの難点があった上、戦中戦後の食糧増産の流れの中で、農家が生産性の高い品種に目を向けるようになり、収穫量が次第に減少。54年には、市場から姿を消した。

     強力に再び注目が集まったのは1980年代。地酒がブームとなり、全国各地の酒蔵がこぞって新たな銘柄を製造するようになると、同学部は88年、研究用に残していた強力の種もみを鳥取市内の酒蔵に提供。それをきっかけに、農家が栽培するようになり、現在は県内の酒造9社が強力を使った地酒を販売している。

     こうした経緯を踏まえ、山口武視副学長(農学博士)が「大学が守ってきた品種を、70周年の節目に学生の手で育てよう」と提案。5月下旬には、大学に隣接する水田32・7ヘクタールで、同学部の3年生約15人が田植えを行った。農薬や化学肥料は使わず、同大学が開発した土にかえる再生紙を使った栽培法を実践。再生紙を水田に敷きながら苗を植えることで、不要な部分には日光が届かず、稲の生育を妨げる雑草が生えなくなるという。

     今秋には約1トンを収穫予定で、精米した後、同市青谷町の日本酒醸造所「山根酒造場」に持ち込み、オリジナルの日本酒約4000本(1本720ミリ・リットル)を製造する。同酒造場の山根正紀代表(53)は「強力を復活させてくれた大学から、記念酒の醸造を託されたのは感慨深い。米の味を生かせるような日本酒を造りたい」と意気込む。

     完成した日本酒は、学生らから名称を公募し、来夏に開く記念式典で出席者に振る舞うほか、大学生協で販売することも検討している。田植えに参加した農学部3年の内田夕貴さん(20)は「在学中に節目の事業に携わることができてうれしい。おいしいお酒になってくれるのを楽しみにしています」と期待していた。

    2018年06月14日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP

    理想の新築一戸建て