文字サイズ
    まとめ読み「NEWS通」

    脱・霜降り、統一規格も…「熟成肉」まとめ

    • 東京都内でも熟成肉を扱う飲食店は増えている(東京都港区の熟成肉専門店「カルネヤサノマンズ」で)=安斎晃撮影
      東京都内でも熟成肉を扱う飲食店は増えている(東京都港区の熟成肉専門店「カルネヤサノマンズ」で)=安斎晃撮影

     農林水産省は、赤身肉ブームの火付け役となった牛の「熟成肉」に、規格を設ける検討を始めた。深いうまみが特徴の熟成肉は、提供する飲食店などが急速に増える一方で、品質や衛生管理にばらつきが出始めていた。一定の公的な規格を設けることで、消費者の安心を促すほか、普及を後押しする狙いがある。(2015年08月14日)

    「熟成肉」とは?

     欧米で発展した「エイジング」と呼ばれる熟成法で軟らかくした肉。冷蔵庫の中で風に当てて水分を飛ばしながら、40日間ほど寝かせる「ドライエイジング」や、真空パックに入れて水分を保ったまま冷蔵保管する「ウェットエイジング」が主流。

    どんな特徴があるの?

    ・食肉処理した後、一定期間、肉を寝かせる加工法が特徴。

    ・独特の香ばしさや赤身のうまみを楽しめる。

    ・一般の精肉店で扱う肉より色が濃く、表面が乾いた感じ。

    ・熟成によってナッツのような香りになり、肉の繊維組織が変わって食べるとサクッとした歯ごたえになる。

    ・肉表面は硬く、黒ずんでいるが、内部はしっとりと赤い。「従来の赤身肉はパサパサしたイメージがあるが、ドライエイジングの肉は、軟らかく、うまみが強い」

    赤身肉自体も人気上昇

    • いわゆる「赤身」のモモ肉(左)と「霜降り」のモモ肉(大阪市中央区のスーパーで)
      いわゆる「赤身」のモモ肉(左)と「霜降り」のモモ肉(大阪市中央区のスーパーで)

     和牛と言えば、「松阪牛」や「神戸ビーフ」など霜降りがたくさん入った「黒毛和牛」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、最近は脂肪分が少なく、赤身の部分が多い「あか毛和牛」にも人気が出ているという。

     食べた人の反応はどうか。「あか毛」の生産者である農業生産法人「神内(じんない)ファーム21」(北海道浦臼(うらうす)町)が2年前に行った試食会でのアンケートによると、「とてもおいしい」と「まあおいしい」と答えた人の合計が95%を超えた。自由回答欄では、「あっさり、さっぱりしている」や「軟らかい」という声が多かったという。(2012年10月30日)

    健康志向の高まりが後押し

     脂身の少ない赤身牛肉が人気だ。健康志向の高まりに加え、寝かせて味わいを増した熟成肉がブームを後押ししている。赤身を看板メニューにする飲食店や、「脱・霜降り」に乗り出す和牛農家も現れた。

    霜降りと人気二分

     大阪市北区の肉料理店「Buff(バフ)」。2年前の開店時は、霜降りロース(150グラム、980円)が主力メニューだったが、赤身の注文が急増し、今は人気を二分している。

     同僚5人と訪れた病院職員の女性(24)は輸入肉の赤身ステーキ(130グラム、880円)を注文。「霜降りは胃にもたれるから量を食べられないし、美容と健康を考えて必ず赤身を頼みます」と話した。

    販売量が2倍に

     2年前に熟成肉を看板メニューとした大阪市福島区の焼き肉店「Da―Wa」では、モモの販売量がこの2年で2倍になり、今ではロースの約1.5倍になった。経営者の和田直喜さん(37)は「赤身は肉本来のうまみを楽しめる。焼き過ぎると硬くなるのが難点だったが、熟成肉だと食べやすい」と話す。

    霜降りから赤身に転換する農家も

     滋賀県草津市の肉販売会社「サカエヤ」は霜降りの黒毛和牛を扱っていたが、6年前に餌を変え、あえて脂身を減らして売り出した。当初は年約10頭分しか売れなかったが、イタリアンレストランなどから注文が相次ぎ、現在は100頭分に。新保吉伸社長(53)は「赤身人気で『霜降り信仰』も変わりつつある」と語る。

     4年前の口蹄疫(こうていえき)で、牛約7万頭が殺処分された宮崎県では、畜産農家らのグループが、脂身が少ない地元の黒毛和牛を「都萬(とまん)牛」と名付け、生産を開始。矢野拓也さん(31)は「味では外国産に負けない」と意気込む。

     但馬牛で有名な兵庫県豊岡市のJAたじまの担当者は「赤身が評価されることで牛肉の魅力が高まれば消費拡大にもつながる」と相乗効果への期待を語った。

    (2014年11月05日)

    なぜ規格化を検討?

     農水省が規格化を検討しているのは、「ドライエイジングビーフ(DAB)」と呼ばれる、米国発の熟成肉の一種だ。

     日本農林規格(JAS)の品目に追加し、製法や、できあがった肉の状態などを定める方針だ。専門家らによる委員会が規格の内容を詰め、早ければ2016年度中にも決定する。

     飲食業者らの任意団体「日本ドライエイジングビーフ普及協会」は、製造工程や品質の自主基準を設けて業者の技術認定を進めている。一方で、微生物を利用するだけに、「管理が適切でなければ、汚染リスクが高まる」(厚生労働省)との指摘もあった。自己流で作った低品質の肉を「熟成肉」として提供する店もあるという。

     飲食関係者からは規格化について、「粗悪品が減り、品質の差が縮まるだろう」との声が上がっている。(2015年08月14日)

    関連記事

    「熟成肉」に統一規格…人気の赤身、普及後押し(2015年08月14日)
    赤身肉、人気ジュワッ…「熟成」ブームで脱・霜降り(2014年11月05日)
    あか 和牛の新顔…脂肪分少なめでも軟らかい(2012年10月30日)
    「熟成」牛肉、うまみ凝縮…一定期間寝かせ赤身軟らか(2011年03月01日)

    2015年08月14日 15時38分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP