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    まとめ読み「NEWS通」

    トランプ大統領就任100日~どうなるアメリカと世界

     アメリカのトランプ大統領の就任から29日で100日を迎えました。新大統領の就任から100日間は「ハネムーン期間」と呼ばれ、野党やメディアは批判を控える傾向にありますが、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の政権運営には、就任直後から厳しい声が相次ぐ、異例のスタートになりました。トランプ大統領の100日間を振り返ります。(日付は現地時間)

    • 就任演説で「米国を再び偉大に」と訴えるドナルド・トランプ新米大統領(20日午後0時18分、米ワシントンの連邦議会議事堂前で)=栗原怜里撮影
      就任演説で「米国を再び偉大に」と訴えるドナルド・トランプ新米大統領(20日午後0時18分、米ワシントンの連邦議会議事堂前で)=栗原怜里撮影

    「100日計画」半分以上が未着手(4月29日…Day100=100日目)

     トランプ米大統領は1月20日の政権発足以降、大統領令を連発するなどして公約実行をアピールしてきた。しかし、大統領就任後100日以内に実現する公約を列挙した「100日計画」の半分以上は依然、着手できないままだ。支持率も低迷しているが、トランプ氏はメディアに毒づくなど強気な構えを崩していない。

     トランプ氏は就任初日に医療保険制度「オバマケア」廃止を見据えた大統領令に署名すると、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、メキシコ国境沿いの「壁」建設、イスラム圏7か国からの入国制限などを巡り、立て続けに大統領令を出した。29日までに署名する予定のものも含めると大統領令は30件に達し、就任100日で戦後最も発令した大統領になる。

    100日間での主なできごと(1月20日~4月29日)

    日付 就任何日目 できごと
    1月20日 1 トランプ大統領就任
    1月23日 4 TPP離脱の大統領令に署名
    1月25日 6 メキシコ国境に壁を設置する
    大統領令に署名
    1月27日 8 イスラム圏7か国からの入国を
    制限する大統領令に署名
    2月3日 15 連邦地裁が入国制限の大統領令を
    一時差し止め
    2月10-11日 22-23 日米首脳会談
    2月12日 24 北朝鮮がミサイル発射
    日米で共同声明
    2月14日 26 フリン大統領補佐官が辞任
    2月28日 40 初の施政方針演説
    3月6日 46 入国制限の新大統領令に署名
    3月15日 55 新大統領令を全米で差し止め
    3月24日 64 オバマケアの見直しを当面棚上げ
    4月6日 77 シリアにトマホーク59発を発射
    4月8日 79 朝鮮半島近海に原子力空母を派遣
    4月18日 89 日米経済対話の初会合
    4月27日 98 「北朝鮮と大規模な紛争になる可能性がある」と発言
    4月29日 100 就任100日

    「米国第一」宣言 オバマ政策を大きく転換(1月20日…Day1)

     米国の実業家ドナルド・トランプ氏は20日、第45代大統領に就任した。連邦議会議事堂前での就任演説では「今日この日から米国第一だ」と述べ、外交・経済両面で国益を何よりも優先する姿勢を鮮明にした。トランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱方針などを示した基本政策を発表し、医療保険制度「オバマケア」に関する大統領令に署名した。ワシントン市内では全米からのトランプ氏支持者と抗議デモ参加者が衝突。分断が深まる米社会と国際秩序の先行きに懸念が強まる船出となった。

     トランプ氏は就任演説で「米国を再び強くする」「我々は国境を取り戻す」など、選挙戦で聴衆を熱狂させた言葉をちりばめながら、既定路線からの「変革」を強調した。「ワシントンの権力があなたたち国民に返還される」と、政権交代の意義を語った。

    TPP「永久離脱」(1月23日…Day4)

    • 就任式の前日、ワシントンで開かれたイベントでトランプ氏の顔写真入りの旗を手にする女性たち(19日午後2時58分、米ワシントンで)=栗原怜里撮影
      就任式の前日、ワシントンで開かれたイベントでトランプ氏の顔写真入りの旗を手にする女性たち(19日午後2時58分、米ワシントンで)=栗原怜里撮影

     トランプ米大統領は23日、米国がTPPから離脱する方針を明記した大統領令に署名した。米国の国益を最優先で求める「米国第一」の保護主義的な立場から、多国間貿易を重視するオバマ前政権の路線を転換した。日米が主導してきた計12か国による世界最大の貿易協定は発効が極めて困難となった。トランプ氏は大統領令に「TPP交渉からの永久的な離脱」を明記。TPPは離脱手続きを定めていないが、大統領令には、参加国に書面で離脱方針を通知する指示を盛り込んだ。トランプ氏は署名後、「TPPを正式に終わらせた。交渉参加国とは2国間の経済連携協定を目指す。素晴らしいことだ」と記者団に語った。

    メキシコ国境に壁の建設を命令(1月25日…Day6)

     トランプ米大統領は25日、不法移民の流入を防ぐため、メキシコ国境沿いの壁の建設に、ただちに着手するよう命じる大統領令に署名した。国境警備の要員を5000人増員するなど包括的な対策を打ち出した。選挙公約の目玉として掲げてきた不法移民の防止を徹底する姿勢を示し、移民に寛容だったオバマ前政権の政策を転換する。

    難民受け入れ120日間停止(1月27日…Day8)

    • 就任式の前夜、トランプ氏の就任に対して抗議する人たち(19日午後7時14分、米ワシントンで)=栗原怜里撮影
      就任式の前夜、トランプ氏の就任に対して抗議する人たち(19日午後7時14分、米ワシントンで)=栗原怜里撮影

     トランプ米大統領は27日、入国審査の厳格化を指示し、難民の受け入れを120日間、全面的に停止することを柱とする大統領令に署名した。米国の国益を最優先で追求する「米国第一」主義に基づいた排外的な政策で、国際社会から批判が高まりそうだ。トランプ氏は署名式で、「イスラム過激派のテロリストを入国させない新たな審査制度を確立する」と強調。「米国を支持し、米国民を深く愛する人しか入国させたくない」と述べた。

    日米首脳会談(2月10、11日…Day22-23)

    • 日米首脳会談を前に握手を交わすトランプ米大統領(右)と安倍首相(10日、米ワシントンのホワイトハウスで)=青山謙太郎撮影 
      日米首脳会談を前に握手を交わすトランプ米大統領(右)と安倍首相(10日、米ワシントンのホワイトハウスで)=青山謙太郎撮影 

     

    日米同盟と経済関係を強化(2月10日…Day22)

     安倍首相は10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とワシントンで初の首脳会談を行い、日米同盟と経済関係を強化していく方針を確認し、共同声明を発表した。麻生副総理兼財務相とペンス副大統領をトップとし、貿易や財政・金融など分野横断的な経済対話の枠組みを新設することで合意した。また、米国の核による日本防衛や沖縄県の尖閣諸島が米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象であることなどを共同声明に明記し、トランプ氏の年内来日で調整することでも一致した。

    ゴルフ外交(2月11日…Day23)

     安倍首相は11日(日本時間12日)、パームビーチにあるトランプ米大統領所有の二つのゴルフ場で、トランプ氏と共に計27ホールを回り、「ゴルフ外交」で友好を深めた。ラウンドは同日午前10時過ぎ(同12日午前0時過ぎ)に開始。18ホールでプレーを終えた後、もう一つのゴルフ場に移動して9ホールを回った。トランプ氏は同日、ツイッターに、ゴルフ場で首相とハイタッチする写真を投稿し、「素晴らしい時間を過ごした」と振り返った。

    シリアと北朝鮮~混迷の世界情勢

    対シリア「強硬」へ転換「アサド政権、一線を越えた」(4月5日…Day76)

     トランプ米大統領は5日、ホワイトハウスでの記者会見で、シリアで化学兵器が使われ、多数の死傷者が出た問題について「人類に対する侮辱で、(シリアの)アサド政権の凶行は許容できない」と述べ、アサド政権を強く非難した。そのうえで、「シリアとアサド大統領に対する私の姿勢は大きく変わった」と述べ、対シリア政策を見直す考えを示した。トランプ氏はイスラム過激派組織「イスラム国」の掃討を進めるため、アサド政権やその後ろ盾となっているロシアとの連携を模索してきた。今回の発言はこうした戦略を転換し、より厳しい姿勢で臨む方針を示したものだ。トランプ氏は「子供たちへの攻撃は私に大きな衝撃を与えた。(アサド政権は)越えてはならない一線(red line)をいくつも越えた」とも指摘した。

    米が巡航ミサイル発射、シリア国軍施設に59発(4月6日…Day77)

    • 米軍艦船から発射されたトマホーク(米国防総省提供)
      米軍艦船から発射されたトマホーク(米国防総省提供)

     米国防総省は6日夜、米軍が巡航ミサイル「トマホーク」59発をシリアの同国軍施設に発射し、対シリア攻撃を開始したと発表した。

     シリアのアサド政権が同国北西部での空爆で化学兵器を使用したと断定し、報復措置として軍事作戦に踏み切った。トランプ米大統領は同日、米中首脳会談のため訪問していた米フロリダ州パームビーチの別荘「マール・ア・ラーゴ」で記者団に「化学兵器攻撃の拠点となったシリアの飛行場に軍事攻撃を行うよう、命令した」と明らかにした。アサド大統領の退陣も求めていくとみられる。化学兵器の使用を否定するシリアや、アサド氏を擁護してきたロシアなどが反発するのは必至で、シリア情勢は混迷を極めそうだ。

    空母を朝鮮半島沖へ(4月8日…Day79)

    • ミサイル駆逐艦(左)やミサイル巡洋艦を伴って、インド洋を航行する米原子力空母「カール・ビンソン」(右)(14日、米海軍提供)
      ミサイル駆逐艦(左)やミサイル巡洋艦を伴って、インド洋を航行する米原子力空母「カール・ビンソン」(右)(14日、米海軍提供)

     米国のトランプ政権が、核ミサイル開発を進める北朝鮮への圧力強化に動き始めた。太平洋艦隊は8日、原子力空母「カールビンソン」を西太平洋の北部海域に派遣すると発表した。ロイター通信は8日、朝鮮半島に近い海域に派遣すると伝えた。米国と中国は6~7日の首脳会談で北朝鮮に対する包括的な政策で合意できなかった。米国は単独でも北朝鮮への軍事的、経済的な措置に踏み切る構えを見せている。同艦隊の発表によると、カールビンソンは当初、寄港先のシンガポールを出てオーストラリアに向かう予定だった。だが8日の出港後、ハリー・ハリス太平洋軍司令官が西太平洋の北部に展開するように指示した。

    北の核「外交での解決、難しい」(4月27日…Day98)

     トランプ米大統領は27日のロイター通信とのインタビューで、北朝鮮の核ミサイル開発について「外交的に問題を解決したいと強く思っているが、非常に難しい」と述べ、北朝鮮が依然として挑戦的に振る舞っているとの見方を示した。そして「北朝鮮と大規模な紛争になる可能性がある」と述べ、北朝鮮が非核化に応じず、核実験や弾道ミサイル発射などの挑発を続ければ、厳しい対応を取らざるを得ないとの認識を示した。

    米露、米中関係~シリアと北朝鮮が関係複雑に

    米露関係修復遠のく プーチン氏 シリア批判けん制(4月5、6日…Day76-77)

     シリアでの化学兵器を使ったとみられる空爆に関連し、ロシアのプーチン大統領は6日、「根拠のない非難は受け入れられない」と述べ、アサド政権の責任を追及する米欧をけん制した。トランプ米政権はアサド政権を厳しく非難しており、ティラーソン国務長官が11日に予定する初のロシア訪問は、関係修復の第一歩ではなくシリア情勢を巡る厳しいやり取りの場となりそうだ。

     ロシア大統領府の発表によると、プーチン氏は6日、イスラエルのネタニヤフ首相とシリア情勢について電話で協議した。プーチン氏は「綿密で公正な国際調査が行われていないのに、根拠なく非難することはだれに対してであれ受け入れられない」と述べた。プーチン氏がこの問題で見解を示したのは初めてだ。これに先立ちトランプ米大統領は5日、記者会見で「化学兵器で子供や赤ん坊を殺したことは容認できない。越えてはならないいくつもの線を越えた」と憤りをあらわにした。

    米中首脳会談~「北の核」平行線(4月6、7日…Day77-78)

     トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が6~7日にパームビーチで行った首脳会談で、習氏は北朝鮮の核・ミサイル開発問題を巡って米朝双方に自制を求め、在韓米軍への米最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」配備に反対する立場を改めて表明した。会談に同席し、新華社通信などの取材に応じた王毅(ワンイー)外相が明らかにした。最大の焦点を巡る議論は平行線に終わったことになる。王氏によると、習氏は会談で、国連の対北朝鮮制裁を完全履行する意向を示したが、問題の解決のためには、北朝鮮の核・ミサイル開発の停止とともに米国による韓国との合同軍事演習など「軍事的圧力」も停止するべきだと主張した。

    習氏10秒沈黙 「…もう一度言って」(4月6日…Day77)

     米フロリダ州で6~7日に行われた米中首脳会談で、トランプ米大統領が米軍によるシリアへの巡航ミサイル攻撃について伝えた際、中国の習近平(シージンピン)国家主席が10秒間沈黙した後、通訳に「もう一度言ってほしい」と聞き返していたことがわかった。12日に放映された米FOXテレビとのインタビューで、トランプ氏が明かした。

     一連のやりとりが交わされたのは6日夜、トランプ氏の別荘「マール・ア・ラーゴ」で行われた夕食会。デザートに出た「最高のチョコレートケーキ」(トランプ氏)を食べている時だった。米軍幹部から報告を受けたトランプ氏は、習氏に「たった今、59発の巡航ミサイルをシリアへ発射した。あなたに知らせたかった」と伝えた。習氏は長く沈黙するなど驚いた様子を見せたが、最終的には「OKだ」と答えたという。

    トランプ氏語録~「トランプ砲」は鳴り止まない

    • 大統領就任前のトランプ氏。米共和党大会で=2016年7月18日撮影
      大統領就任前のトランプ氏。米共和党大会で=2016年7月18日撮影

    (会見で)「君に質問はさせない」

     就任前の記者会見で。自身のスキャンダルやロシアとのかかわりを報じられ、メディア批判を展開。CNNの記者と激しく衝突する場面もあり、記者が何度も「批判するなら質問する機会を下さい」と声を張り上げたが、質問に応じなかった。(1月12日付夕刊)

    「(日本は)私がこれまでに見た最大級の船に数十万と車を積んで来て我々に車を売りつける。これは公平ではない」

     米企業幹部との会合で。念頭にあるのは対日貿易収支の赤字約7・2兆円(2015年)で、米国車の対日輸出を増やして貿易収支を改善したいとの思惑が垣間見えるが、実情にそぐわない面もある。(1月25日付朝刊)

    「費用はメキシコが返済する。100%だ」

     米ABCニュースのインタビューで。メキシコ国境での壁建設は、米政府の資金で壁の建設を始める方針が示されたが、財源は不透明。(1月27日付朝刊)

    「一番嫌な電話だ」

     1月28日にオーストラリアのターンブル首相と電話会談した際に。オバマ前政権が交わした難民受け入れの合意について、ターンブル氏が電話で合意の履行を確認したところ、トランプ氏は不満をぶつけ、1時間の会談予定を25分で打ち切ったという(2月3日付朝刊)

    • 米大統領就任式で=1月20日撮影
      米大統領就任式で=1月20日撮影

    (プーチン大統領を)「尊敬している」

     FOXテレビのインタビューで。司会者から「プーチンは殺人者だ」と追及されたが、「我々の側にも殺人者はたくさんいる。我々も多くの過ちを犯してきた。私はイラク戦争にも最初から反対だった」と反論した。(2月7日付夕刊)

    「オバマ大統領は大統領選直前の10月に私の電話を盗聴していた」

     自身のツイッターで。トランプ陣営とロシアのつながりをめぐる「ロシア疑惑」について「民主党が作り上げた虚構」との主張を繰り返している。このツイートも反論の一環との見方が強いが、オバマ氏のスポークスマンは同日、完全否定の声明を出した。(3月6日付朝刊)

    「大統領職がこんなに重大なものだとは思わなかった」

     AP通信によるインタビューで。自身が命じたシリア攻撃を例に神妙な面持ちで返答した。企業経営と大統領職との違いについて「(大統領職には)ハートが必要だ。国民を愛さなければならない」とも。(4月25日付朝刊)

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    2017年04月29日 10時15分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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