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    高校野球

    怪物の卵・清宮幸太郎(前編)…ノンフィクションライター・松瀬学

    • 豪快なバッティング(高校野球西東京大会、東大和南戦で)
      豪快なバッティング(高校野球西東京大会、東大和南戦で)

     どうみたってメディアが騒ぎ過ぎである。甲子園出場の清宮幸太郎内野手(早稲田実)はまだ、16歳の1年生スラッガーに過ぎない。ただホームランの打球や清宮選手本人を取材すると、「すごい選手になるかもなあ」と思ってしまう。なぜだろう。無邪気な笑顔がいい。目付きもいい。『心・技・体・知』がそろっているからである。

    体:足のサイズは30センチ

     1メートル84、97キロの堂々たる体()である。足のサイズは30センチ。体幹が強そうで、足腰ががっしりしている。で、筋肉にしなやかさがある。その体ゆえのバットスイング。

     春の東京都大会で130メートル級の初本塁打を見たら、かつて取材した清原和博や松井秀喜の高校時代を思い出した。

     幸太郎人気は、父親のラグビー日本一のヤマハ発動機の清宮克幸監督の存在もあってのことだろう。目力や歩き方は親子そっくりである。幸太郎選手は生まれた時、体重が3832グラムもあった。

    • 西東京大会の対東海大菅生戦で、適時打を放つ
      西東京大会の対東海大菅生戦で、適時打を放つ

     父親は、「大きいことはアドバンテージだ」と思ったと言っていた。このまま、ほかの子どもとの差を維持していこうというわけだ。牛乳をしっかり飲ませ、バランスのとれた食事をとらせるよう心掛けた。虫歯にならないようにも気を付けた。よく()み、よく食べ、よく遊ぶといった具合だった。

     幸太郎選手は右投げ、左打ち。父親は、野球は左バッターが有利なスポーツと聞いて、4、5歳のとき、左でバットを振らせるようにした。小学校に入ると、親子でバッティングセンターに通っている。小学校1年のとき、120キロとか130キロのボールにバットを当てていたというから驚く。

     幸太郎選手は野球とラグビーをやっていたけれど、小学校4年生の終わり、硬式ボールのリトルリーグのチームに入り、野球一本に絞った。ライバルが多い方が成長する度合いも大きいと親子で考えたからだった。

    技:打っても投げても高い能力

     こちらは野球の専門家に任せるとして、幸太郎選手の打球ほど、高く上がる高校生のそれや飛距離をあまり見たことがない。ボールを引っ張りこんでのスイングは、おそらく天性のものだろう。選球眼もいい。

     打撃の非凡さは当然として、投手として、中学1年生で球速MAX129キロを投げていた。運動能力のベースとなる「運動コントロール能力」が高いことを示している。(続きはこちら

     松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター。1960年生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、共同通信入社。運動部記者としてプロ野球、オリンピックなどを取材。2002年からフリーに。主な著書は「汚れた金メダル―中国ドーピング疑惑を追う」「なぜ東京五輪招致は成功したのか」など。

    2015年08月07日 09時44分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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