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    高校野球

    怪物の卵・清宮幸太郎(後編)…ノンフィクションライター・松瀬学

     8日の第1試合に注目のスラッガー、早稲田実(西東京)の清宮幸太郎選手が登場する。彼のどこがスゴいのか。早大ラグビー部出身で、長年、清宮父子を見てきたノンフィクションライターの松瀬学さんによる分析の後編をお届けする(前編はこちら)。

    心:負けじ魂と素直さ

    • 西東京大会で優勝を決め、喜ぶ
      西東京大会で優勝を決め、喜ぶ

     幸太郎選手の一番の持ち味は、好きなことに没頭する能力だと思っている。これは父親譲りだろう。かつてラグビーボールを蹴り出したら、ただ夢中に2、3時間、ひとりで蹴っていた。野球でも自宅に帰ってミート打撃を延々とやり続ける。

     スポーツ選手にとって、負けじ魂も大事な要素である。幸太郎選手が小学2年のとき、父親の清宮監督率いるサントリーが試合に負けたら、スタンドで泣きながら、自分の靴をグラウンドに投げいれようとしたことがある。「なんで負けんだよ~」と叫んで。

     幸太郎選手は負けるのが嫌だから、失敗は反省し、きっちり修正していく。自宅のビデオによる自身のフォームの研究にも余念がない。このひたむきさ、努力する才能もまた、父親譲りかもしれない。

     もうひとつ、幸太郎選手の魅力は素直さである。父親の人脈の豊かさゆえ、幸太郎選手は一流のスポーツ人から一流のトレーナー、指導者に会ってきた。礼儀正しい。目上の人の話を素直に聞くことができる。聞く力って、人の成長には大きいだろう。

    • 甲子園出場を決め、笑顔を見せる
      甲子園出場を決め、笑顔を見せる

     行動を変えるためには、思考を変えなければいけない。思考を変えるためには、言葉を変えるのがいい。幸太郎選手の魅力は、なんといってもユニークな「清宮語録」である。物おじせず、思ったことをズバッと言う。

     父親の「有言実行」ぶりを間近に見てきたからだろう、高い目標設定を口にして努力するのである。

     高校初本塁打を放った試合後には、「(高校通算本塁打は)80本ぐらい打ちたい」と宣言した。これは高校通算60本塁打を記録した松井を意識してのものだろう。

     甲子園出場を決めた試合後、記者から「(運を)持ってますね」と聞かれると、幸太郎選手はこう答えた。「いやいや。(早実は)運ではなく、実力をもっているんです」。そのときの屈託のない笑顔がよかった。

    知:勉強でも抜群の成績

     父親の持論は、「勉強ができないヤツはスポーツでは大成しない」である。“心・技・体・知”が必要で、スポーツ選手の場合、成功、失敗のカギは「知」と言うのだった。

     その通りだと思う。幸太郎選手は家庭教師が付き、中学時代、オール5に近いほどの成績を残しているそうだ。自分で考える力がある。これは言葉でも分かるが。

     言葉を交わすと、PL高校時代の桑田真澄のクレバーさに似ている。

     ちょっと()めすぎたかもしれないけれど、清宮親子を取材すると、つい好感を抱くのである。幸太郎選手はまだ高校1年生。これからどう成長していくのか、楽しみにしようじゃないの。

     松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター。1960年生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、共同通信入社。運動部記者としてプロ野球、オリンピックなどを取材。2002年からフリーに。主な著書は「汚れた金メダル―中国ドーピング疑惑を追う」「なぜ東京五輪招致は成功したのか」など。

    2015年08月07日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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