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    遺跡破壊

    「イスラム国」、メソポタミア遺跡次々破壊…注目集める狙いか

     【カイロ=久保健一】イラク観光・遺跡省は9日、イスラム過激派組織「イスラム国」が同国北部モスル郊外にある古代メソポタミア文明のホルサバード遺跡の破壊を始めたと発表した。「イスラム国」によるモスル周辺での遺跡破壊は今月に入って3件目で、破壊行為がエスカレートしている。

     同省は9日の声明で「人類の歴史を抹殺しようとするギャング集団の蛮行だ」と、「イスラム国」の破壊行為を非難。モスル在住のクルド人政党幹部は9日、本紙に対し、「イスラム国」が遺跡の破壊を始めたと認めたうえで、「ドリルを使って遺構の一部を取り外し、密売人に買い取りを持ちかけている」と語った。

     ホルサバード遺跡は、紀元前8世紀に新アッシリア王国の最盛期を築いたサルゴン2世が造営した首都の遺構。厚さ25メートルの城壁に七つの城門がある巨大遺跡で、メソポタミア文明の宗教観を象徴する「人頭有翼獣像」が多く出土したことでも知られる。

     「イスラム国」は昨年6月の勢力拡大以来、同組織が異端とみなすイスラム教シーア派のモスクに加え、キリスト教会などを次々と破壊してきた。ただ、今回は紀元前にさかのぼる「古代メソポタミア文明」の遺構を標的にしているのが特徴だ。国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されているハトラ遺跡のほか、古代アッシリアのニムルド遺跡も今月に破壊された。

     「イスラム国」の狙いについて、イラク国立イラキヤ大のアッバース情報局長は、「知名度の高い遺跡を攻撃して世界中の注目を集めることで、戦闘員や資金の獲得を狙っている」との見方を示している。ユネスコも声明で「計画的な文化遺産の破壊は戦争犯罪にも相当する」と、「イスラム国」を厳しく非難した。(2015年3月10日朝刊)

    2015年03月10日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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