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    老後破産

    子どもがニート? ひきこもり?…「老後破産」の現実(7)

    ファイナンシャルプランナー 村井英一

     子どもが高校や大学を卒業し独立間近、一抹の寂しさを感じつつもやっと家計に余裕が…と思っていたら、働かない? 家にひきこもる? まさかうちの子が――。好評の「老後破産の現実」シリーズ、畠中雅子さんによる「 『貯金2700万円』でも危ない… 」「 3500万円が底をつく『死角』… 」、村井英一さんによる「 3000万円も不足? インフレの恐怖… 」「 退職金が半分に!?… 」「 『40代で子宝』夫婦の誤算… 」「 独立したら85歳で1600万円借金?!… 」に続き、子どもが「ひきこもり」や「ニート」になった時の家計状況と対処の仕方を村井さんが解説する。

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    誰もがなりうる「ひきこもり」

     ファイナンシャルプランナーとして、多くのご家庭の家計シミュレーションを作成し、将来の家計の状況を確認していただいている。もっとも、不確定な未来のことだけに、いくつかの前提条件を仮定し分析を行うことになる。その前提条件のうち、代表的なものが、「子どもは大学を卒業したら、親の家計から独立する」というものである。

     通常であれば、子どもが23歳になる時点で、生活費を1人分少なくした家計設計を行う。大学受験浪人をした、大学院に進学する、などで多少遅れることはあっても、20代半ばからは子どもは社会人として働き、まったくお金がかからないという前提である。

     ところが、この数年はこの大前提が崩れてきている。学校を卒業しても、自立できない子どもが増えているのだ。いわゆる「ひきこもり」や「ニート」の状況になる子どもが少なくない。そうなると、将来の家計予測は一変する。

     ちなみに、私たちファイナンシャルプランナーの仲間で、「働けない子どものお金を考える会」という活動を続けている。今回は、その経験を踏まえ、子どもが独立しないという予想外の事態で家計設計が窮地に陥るケースを考えてみよう。

     「ひきこもり」と言われる状態にある人がどの程度いるのかは、調査によって異なるが、平成22年に内閣府が行った調査によると、約69.6万人と推計されている。15歳以上39歳以下の約1.8%に相当する。これに、仕事をしたりしなかったりという「ニート」的な状況の人を加えると、自立した生計を立てられない若者は、かなりの数に上るだろう。

     今や、子どもは23歳になったからといって、就職して家計から独立するとは限らない。その後も子どもの生活費が親の負担になってしまうことがありうるのだ。

     また、いったん就職しても、その後にドロップアウトしてしまい、無職となって親元に戻って過ごすというケースも多い。たいていの親は、子どもが就職すると「やれやれ」と安心し、負担が減ったことに安堵(あんど)する。それがいきなり、先の見えない負担増となるのだから、戸惑いも大きい。夫婦2人で老後をエンジョイするつもりだったのが、一転して深刻な状況に陥ってしまうこともある。

     「ひきこもり」は、社会での人間関係、就職活動の難航など、自信喪失となることがきっかけで、誰にでも起こりうる。そして、いつそのような状態になってもおかしくはない。いったん就職しても安心はできない。それだけに、「23歳以降も子どもが独立しない可能性」も頭に入れておきたいものだ。


    2016年02月22日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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