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    老後破産

    退職金でも住宅ローンが返せない?!…「老後破産」の現実(8)

    ファイナンシャルプランナー 村井英一

     マイナス金利時代の今、「マンション即日完売御礼!」などの文句に心焦り、住宅購入を急ぐ人も多いだろう。でも、住宅はおそらく生涯最大の買い物。失敗すれば老後の生活も危うい。連載「『老後破産』の現実」では、畠中雅子さんの「 『貯金2700万円』でも危ない… 」「 3500万円が底をつく『死角』… 」、村井英一さんの「 3000万円も不足? インフレの恐怖… 」「 退職金が半分に!?… 」「 『40代で子宝』夫婦の誤算… 」「 独立したら85歳で1600万円借金?!… 」「 子どもがニート? ひきこもり?… 」に続き、住宅購入について村井さんに寄稿してもらった。

    「いくらまで借りられますか?」

    • (写真はイメージです)
      (写真はイメージです)

     仕事柄、住宅展示場などで住宅ローンの相談を受けることは多い。その中でよく受ける質問が

     「私だと、住宅ローンはいくらまで借りられますか?」

     という質問である。年収や年齢などからおおよその金額を言うと、決まって

     「では、○○○○万円までの家が買えるわけですね」

     との言葉がかえって来る。

     「“借りられる金額”と“返せる金額”は違います。無理なく返せる金額で考えましょう」

     とアドバイスするのだが、理解してもらうのはなかなか難しい。

     また、こんな質問もよく受ける。

     「どの金融機関が一番多く借りられますか?」

     中には、すでにいくつかの金融機関に問い合わせをしており、さらに多くの金額が借りられるところを探している人もいる。

     ほとんどの人が住宅ローンを組んで自宅を購入する。それだけに、住宅ローンの上限額が自宅の予算の制約となる。多く借りることができれば、それだけ予算が増え、高額な物件を購入することができる。「いくら借りられるか」が、目先の最大の関心事となるのは、やむを得ないかもしれない。

     「住宅ローン控除」という減税策があり、国が住宅購入を後押ししている。住宅ローンの年末の残高の1%分が減税の対象となっており、上限額があるものの、基本的には大きな金額のローンを組むほどに、減税の恩恵が大きくなる。こんなことも「借りられるだけ、目いっぱい借りた方がお得」という状況を作っている。

     もちろん、多く借りるために、返済期間は最大の35年となる。30代、40代の人は、定年になっても払い終えないわけだが、「最後は退職金で繰り上げ返済する」ということになる。

     余裕がある時に繰り上げ返済をすればいい、と考えている人もいるが、教育費の増加などで、ままならないことが多い。繰り上げ返済どころか、予定の返済すらできなくなってしまうケースもある。返済が滞る状況が続けば、やがては自宅を差し押さえられ、競売にかけられてしまう可能性がある。

     そこまで行かなくても、毎月の返済に苦しむようでは、家庭の中がギスギスしてしまい、夢のマイホームに住んだものの、楽しい生活が送れないということになりかねない。


    2016年04月18日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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