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    計1万8000人を超す死者・行方不明者を出した東日本大震災。発生から5年を迎える被災地で復興に情熱を傾ける人々の姿、再生に向けた足取り、災害の教訓を生かす取り組みをお伝えします。
    現場から

    都市直下地震、もし「帰宅難民」になってしまったら

    防災・危機管理ジャーナリスト 渡辺 実


     もしもあなたが仕事をしているとき、また通勤の途中で大地震に襲われたら……。自分の身の安全を守るためにはどうしたらよいでしょうか。帰宅するかオフィスにとどまるか。もしも「帰宅難民」になってしまったら。家族との連絡方法は。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏に指南してもらいます。

    防災・危機管理ジャーナリスト 渡辺 実

    • 東日本大震災では首都圏も大きな揺れを感じた。午後3時28分ごろに撮影した新宿駅東口周辺の様子(2011年3月11日、読売ヘリから)
      東日本大震災では首都圏も大きな揺れを感じた。午後3時28分ごろに撮影した新宿駅東口周辺の様子(2011年3月11日、読売ヘリから)

     東日本大震災から、5年。いまだに仮設で避難生活を送る人たちも多くいるという現実には、一日も早く元の暮らしに戻れることを祈ってやみません。

     東日本大震災が起こったその日、私も東京都内で激しい揺れを感じました。JRや私鉄・地下鉄が軒並みストップして交通網がズタズタになりました。これによって多数の「帰宅難民」(帰宅困難者)が発生し、駅や地下道、避難所などで一夜を過ごしました。また、液状化などの被害も発生しました。水道や電気・ガスも止まりました。

     首都直下地震が30年以内に起きる可能性が高いといわれています。その規模や発生時刻によっては、首都圏に想像を絶する甚大な被害が発生すると想定されています。また、南海トラフ巨大地震(静岡県沖から九州沖にかけて延びる海溝沿いで、100~150年周期で起きるとされる巨大地震)の被害は、最悪の場合、死者約32万人、倒壊家屋約238万棟と推計されています。

     もしもみなさんが会社に勤務している最中に大地震が発生したら……。通勤途中で大地震に遭遇したら……。

     自分たちの生命をどのように守ればよいのでしょうか? どのような対応をとればよいのでしょうか? 

     いつ、どんなタイミングで災害が起こったとしても冷静に対応できるよう、備えを万全にしておくことが必要不可欠です。

     5年前の3・11の経験を踏まえ、さらに21年前の阪神・淡路大震災からの教訓、そしてこの5年間の環境の変化も考慮に入れて、私たちが肝に銘じておくべきことと、適切な対応方法を一緒に考えてみましょう。

    ◆    ◆    ◆

    勤務中に巨大地震が発生、そのときどうする?

     緊急地震速報が流れたら! 数秒から数十秒以内には、大きな揺れが襲ってきます。揺れが来る前に、机の下へもぐってください。なるべく本棚やコピー機などの事務機器、そして窓ガラスから離れ、頭をカバンなどで守ってください。

     その時に、腕をくの字にして頭の両脇に引きつけ、意識的に手首を内側に曲げてください。そうすることで、頭を守るとともに手首と首の両脇にある血管の中でも一番太い動脈を、ガラスなどの落下物などから守ることができるのです。

     結果的に、“自分自身の命を守る”ことにつながります。まずはこれが一番です。

    超高層タワービルでは

    • 阪神・淡路大震災で横倒しになったビル@machiken
      阪神・淡路大震災で横倒しになったビル@machiken

     近年、超高層タワービルの建築が進み、高層階をオフィスとするサラリーマンが多くなりました。このようなビルでは、地震が発生すると大きく水平方向に、しかも長い時間、ユサユサと揺れることを覚悟しておいてください。

     今年2月6日に起きた台湾南部大地震の時に16階建て高層マンションが横倒しになりました。明らかに耐震力不足と手抜き工事が原因だと考えられます。

     日本の高層ビルや超高層ビルは、台湾のような横倒しにはならないと思います。

     しかし、阪神・淡路大震災のとき、神戸市内で同様の手抜き工事によると思われる高層ビルが、横倒しになったことは忘れられません。

    エレベーターに乗っていたら閉じ込められることを覚悟

     地震発生と同時に停電になります。多くのエレベーターが停止し、もしそのエレベーターをあなたが利用していたならば、途中階で閉じ込められてしまう可能性があります。

     消防隊やエレベーターの管理会社の人も私たちと同様、身動きできません。ですので、数日は助けが来ないまま、エレベーターの中に閉じ込められることになるかもしれません。

     その際、もっとも困るのはトイレです。エレベーターに乗る前、可能な限りトイレに行っておくことも大切です。なるべくバッグや手提げなどを持ち歩き、その中にスーパーのビニール袋や携帯トイレを入れておくことを習慣化してください。

     できる限りエレベーターには乗らないようにして、階段を使うことも一つの手段です。

    2016年03月17日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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