気軽に「投資」

 「投資」というと、家庭の主婦やサラリーマンといった多くの市民は身構えてしまいます。例えば実績利回り0.5%のMMF(マネー・マネジメント・ファンド)を保有している奥様でも、MMFは追加型公社債投資信託の1種ですから、れっきとした「投資家」なのですが、こんなことを言ったりします。

 「私はMMFにお金を預けているけれど、それで『投資家』になるなんて大それたことを考えているわけじゃないのよネ」

 何となく気持ちはわかります。投資というのはどうしても人を身構えさせるものがあります。庶民にとっては巨額の資金、情報収集と分析・予測。高等数学を使った先物やオプション取引。そこまでいかなくても、ここ数年の社会問題をみていると、損失補填やトバシなどのマイナス・イメージの事件が相次いだために、なにやら後ろめたさだって感じてしまいます。

 ――それでも、投資家にならずに預金者のままでいると、この超低金利の世の中、お金はちっとも増えません(投資と預金の違いは項をあらためてお話します)。昔、定期預金金利が6%の時代がありました。6%なら元金が複利で倍になるのに20年はかかりません。ところが、0.2%ならどうでしょうか。

 347年。マネー・プランの射程距離外です。

 くだんの奥様は定期預金の代わりにMMFを使っているようです。大抵の投資信託には購入時に手数料が要りますが、MMFには手数料がかかりません。そのかわりMMFは1ヶ月以内に換金すると1万円につき10円のペナルティが必要です。それ以上なら32日目でも100日目でも730日目でもペナルティも手数料もかからずに、その間の実績の金利が日割りで手に入ります。 ちなみに新聞などに載っているMMFの利回りはその1週間前からの実績の平均値であらわされています。奥様はこの利回りと定期預金金利との比較で気軽に選んだのでしょう。倍にしようなどと大それたプランはないのでしょうが、遊ばせておくよりはいいわけですね。

 「投資でひと儲け」の時代から、「預金」にするか「投資」にするかをコンマ以下の利回りのレベルで考える時代になったのです。同時に、巨額の資金なんかとは無縁でもあります。有価証券投資のなかで、投資信託は最も少額からできる投資といえます。多くの場合、1万円以上から購入できるのです。

(林皓二・日本投資信託制度研究所常務)


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