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    朝日人権委、誤報正さず…巨人契約金報道

     朝日新聞の敗訴が確定した読売巨人軍の選手契約金報道を巡り、巨人軍が朝日の第三者機関「報道と人権委員会」(人権委)に対し、記事は真実だと結論づけた人権委の「見解」の訂正などを求めた申し立てについて、人権委は11日、巨人軍に「審理しない」と通知した。

     巨人軍は「人権委は被害救済の役割を果たさなかった」と批判し、識者からも「第三者機関としての存在意義が損なわれる」などの指摘が出ている。

     巨人軍によると、人権委は通知書で、「見解を不服として起こした裁判が確定している」ことや、「同一の事件についての申し立て」であることなどを理由に、再審理の必要性はないと結論づけたが、確定判決によって「見解」が否定されたことには言及しなかった。

     契約金報道を巡り、巨人軍などが2012年4月、訂正を人権委に申し立てたところ、人権委は同年7月12日、「記事はすべて真実」との見解を公表。朝日は翌日の朝刊で見解を詳細に引用し、「報道と取材に問題なし」などと大きく報じた。

     巨人軍は朝日を提訴。東京地裁判決は請求を棄却したものの、東京高裁判決は名誉毀損きそんの成立を認め、朝日に330万円の賠償を命じ、最高裁で確定した。これを受け、巨人軍は先月22日、人権委に、見解の見直しと、見解を報じた記事の訂正・謝罪を朝日に求めるよう申し立てた。

     ◆確定判決は「記事は真実ではない」「NPBに取材せず」認定

     人権委は見解で、選手の成績に応じて支払われる出来高払い(報酬加算金)を契約金とみなしたが、確定判決は「年俸に加算する報酬であり、契約金とは性質が異なる」と認定。また、巨人軍の契約は日本野球機構(NPB)の厳重注意処分に相当すると報じた記事について、人権委は真実だとしたのに対し、確定判決は「巨人軍が処分を受ける可能性はなく、記事は真実ではない」と判断した。

     さらに、人権委は朝日の取材について「NPBへの取材もなされている」との見解を示したが、確定判決はNPB関係者に取材しなかったと認定した。

     こうしたことから、巨人軍は申し立ての中で、「見解の誤りは明白で、これを報じた記事の責任は重い」と批判していた。

     ◆見解報道の二次被害無視

     人権委の見解について、朝日は、報道などに問題がないと判断された他のケースは小さく報じているが、契約金報道の見解は1ページを費やす異例の扱いだった。巨人軍は、「見解の報道が新たな人権侵害を引き起こした」と二次被害を訴えたものの、人権委は11日の通知書でこの点に一切触れなかった。

      朝日は確定判決を報じる紙面で「記事の根幹部分は真実だと認められた」とするコメントを掲載しており、巨人軍は今後、記事の訂正などを求めて人権委に新たな申し立てを行う。

     人権委は01年に発足した朝日新聞社内の第三者機関。現メンバーは憲法学者の長谷部恭男・早大教授と宮川光治・元最高裁判事、今井義典・元NHK副会長。

     読売巨人軍広報部の話「朝日新聞の契約金報道による名誉毀損を認めた司法判断が確定したにもかかわらず、『報道と人権委員会』が見解を正さないばかりか、再度の審理すらしないことに驚きを禁じ得ません。報道被害の救済機関であるはずの人権委が、その役割を果たさなかったことは誠に残念です。朝日新聞は判決で誤報だったと認定されたにもかかわらず、紙面で『記事の根幹部分は真実だと認められた』と判決の趣旨をゆがめるコメントを掲載しており、今後、その見直しも人権委に求めていきます」

    2017年01月11日 23時12分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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