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    地震や戦争で断念、73年越し感動の「卒園式」

    • 伊達園長(右)から卒園証書を受け取る卒園生(鳥取市西町で)
      伊達園長(右)から卒園証書を受け取る卒園生(鳥取市西町で)

     鳥取市西町の愛真幼稚園は14日、鳥取地震(1943年9月)や戦争の激化で卒園式を迎えられなかった5人を招き、73年越しの「卒園式」を行った。

     旧友との再会を果たした卒園生は、「まさか、この日が訪れるなんて」と卒園証書を手に涙を浮かべた。

     5人は、鳥取市の今井喬さん、北岡貢朶さん、森脇美恵さん、米沢至明さん、米子市の門脇靖子さん(いずれも79歳)。

     1944年3月に卒園するはずだったが、半年前に鳥取市を襲った鳥取地震(マグニチュード7・2)で園舎が被災。戦争も激しくなって通園する園児はほとんどいなくなり、卒園式は行われなかったという。

     昨年4月、幼稚園の創立110周年記念式典の場で、そのことが話題に上ったのを契機に、園が当時の在籍生を調査。同地震などで名簿は失われていたが、園とつながりがあった森脇さんらが知人をたどるなどして17人の連絡先がわかり、うち5人がこの日を迎えた。

     式では、園児たちが賛美歌を歌い、伊達季代子園長が5人に卒園証書を手渡した。橋原正彦理事長が「あまりに長い年月がかかりましたが、皆さんの歩みに敬意を表したい」とあいさつした。

     式後、森脇さんは「卒園式を行えなかったことが心残りだった。証書を手にすることができ、感無量」と目を潤ませた。数日後に孫の卒園式があるという今井さんは「孫に『おじいちゃんもきょう卒園したんだよ』と伝えて驚かせたい」と笑顔だった。

     園には、戦中から戦後にかけての記録が残っておらず、今後、当時の在籍生の所在確認などを進めることにしている。米沢さんは「多くの仲間を見つけて、幼少時代の思い出話に花を咲かせたい」と話していた。(高山智仁)

    2017年03月19日 11時11分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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