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    旧吉田茂邸、没後50年に復活…戦後政治の舞台

    • 再建された旧吉田茂邸(大磯町西小磯で)
      再建された旧吉田茂邸(大磯町西小磯で)
    • 応接間棟1階の「楓の間」
      応接間棟1階の「楓の間」

     神奈川県大磯町が再建していた旧吉田茂邸(同町西小磯)が完成し、4月1日からの一般公開を前に、報道陣に建物内が公開された。

     3月26日には落成記念式典が執り行われ、周辺で各種イベントが予定されている。今年は吉田の没後50年。改めて功績をしのぶ契機となりそうだ。

     旧吉田茂邸は、吉田元首相が終戦前後から晩年まで暮らし、「吉田御殿」とも呼ばれ、戦後政治の舞台にもなった。しかし、2009年の火災で焼失。町は歴史的価値のある資産を後世に伝えるため、再建基金を設けて寄付を集めてきた。15年3月に再建工事が始まり、このほど完成。総事業費約5億4000万円で、そのうち約2億9000万円を寄付金で賄った。

     工事では焼失前の邸宅のうち、応接間棟と新館棟、食堂棟をメインに復元。応接間棟は吉田が首相時代に建てられた棟で、1階の応接間「かえでの間」は1979年、大平正芳首相とカーター米大統領による首脳会談の場にもなった。2階の書斎には官邸直通の黒電話が置かれ、浴室には地元の船大工が関わったヒノキ造りの舟形の浴槽がある。

     新館棟は吉田が海外からの賓客を迎えるため、東京歌舞伎座の設計者でもある建築家吉田五十八いそやに設計を依頼したもので、豪壮な数寄屋風建築となっている。2階の応接間「金の間」から、吉田が愛した富士山や相模湾が一望でき、吉田が最期を迎えた寝室兼書斎の「銀の間」には、当時のベッドが再現されている。

     町郷土資料館の國見徹館長は「古い写真や図面などを参考に忠実に復元し、建物自体が展示資料になっている。吉田が過ごした空間を感じてほしい」とPRしている。

     落成を記念し、町郷土資料館では26日から5月7日まで、企画展「吉田茂 その生涯と大磯」を開催。幼少期から大磯に親しみ、晩年は大磯で暮らした吉田の生涯、大磯との関係、吉田邸内の様子などを、手紙や衣服、食器セットなど約100点の資料で紹介。4月16日には国学院大学の柴田紳一准教授が「吉田茂と大磯」と題して講演する。

     旧吉田茂邸の管理休憩棟では、25日から4月9日まで焼失前と再建後の旧吉田茂邸の写真を展示。大磯プリンスホテルでは、4月5日から地元名物「真壁豆腐店の豆腐」「井上蒲鉾かまぼこ店のはんぺん」「新杵のまんじゅう」など、吉田が好んだ食べ物を盛り込んだメニュー「旧吉田茂邸ランチ」(税込み3850円)を提供する。

     旧吉田茂邸の観覧料は大人500円、中高生200円、小学生以下無料。問い合わせは町郷土資料館(0463・61・4700)へ。(鈴木英二)

    2017年03月19日 12時44分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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