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    地域猫、企業がお世話…住民と協力し捕獲や手術

    • 草むらに捕獲器を取り付ける富岡さん(左端)や住民ら(川崎市中原区で)
      草むらに捕獲器を取り付ける富岡さん(左端)や住民ら(川崎市中原区で)
    • 不妊手術を施した親猫と子猫。社員と住民が譲り受けて飼っている(三菱ふそうトラック・バス提供)
      不妊手術を施した親猫と子猫。社員と住民が譲り受けて飼っている(三菱ふそうトラック・バス提供)

     野良猫をルールを決めて世話する地域猫活動に、神奈川県川崎市中原区の「三菱ふそうトラック・バス川崎製作所」が周辺住民とともに取り組んでいる。

     ふん尿被害に悩み、一時は地域に餌づけ禁止を求めたが、反発を受けて転換。不妊・去勢手術を施し、社員や住民に譲渡する方向へと発展させた。同活動に取り組む団体からは、「企業の危機管理の面でも好例」と評価する声が出ている。

     

     JR新川崎駅に近い同製作所で先月、同社労政部の富岡秀夫さん(59)や地域住民、「日本捨猫防止会」(東京)の市内の会員ら約10人が集まり、猫が集まりやすい東側の金網フェンス沿いの草むらに、捕獲器を設置した。日没前、捕獲の連絡を受けた富岡さんが急行し、キジトラ猫の雌を確認。動物病院に運んで不妊手術を行い、製作所の敷地内に放した。

     この活動は昨年夏、会社側が住民に、猫への餌づけをしないよう求めたのがきっかけ。同製作所では10年以上前から約33ヘクタールの敷地内に猫が繁殖し、ふん尿をまき散らすなど問題になっていた。外部向けに餌づけ禁止を求めるポスターをフェンスに貼ると、餌やりをしている住民や同防止会から「餌づけを禁止しても猫は減らない」と抗議を受けた。

     社内で検討した結果、捨て猫たちも「被害者」だという考えに至り、子猫を増やさないために、昨年11月から住民らの協力で捕獲と不妊・去勢手術を始めた。同防止会から借りた捕獲器で年末までに雄3、雌9の計12匹を捕獲し、手術後に放した。餌は毎日夕方、フェンス沿い4か所に置くルールも決めた。捕獲前に生まれた子猫6匹は社員と近隣住民に譲渡された。今年になって新顔が現れ、6月から捕獲を再開した。

     同防止会の五十嵐秀美さん(60)は「地域猫活動に企業が住民と取り組むモデルになれば」と期待。富岡さんは「工場から猫を追い出すだけではだめだと考えさせられた」と語る。今後は猫が増えないよう管理しつつ、敷地南側にも活動範囲を広げ、他の工場にもノウハウを伝えていく方針だ。

     市もガイドライン(指針)を作って地域猫活動を推進しているが、担当者は「住民の合意が必要なこともあり、進んでいない」と指摘。各地域で活動を担うボランティアの登録制度などを検討している。(石川祐司)

     ◆地域猫活動=自治会などの地域住民の合意で責任者を決め、飼い主のいない猫の餌やりや清掃などを行って管理する。不妊・去勢手術を施して繁殖を防ぎ、数を徐々に減らしていくのが目的。

    2017年07月16日 16時53分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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