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    7年ぶりの夏祭り、響くは伝統の「相馬盆唄」

    • 盆踊りの輪を見守る渡辺さん(11日、富岡町で)
      盆踊りの輪を見守る渡辺さん(11日、富岡町で)

     東京電力福島第一原発事故の避難指示が4月に一部解除された福島県富岡町で11日、7年ぶりに夏祭りが開かれた。

     来春の再開に向けて改修工事が進む富岡第一小学校には、伝統の「相馬盆唄ぼんうた」が響いた。本格的な復興へ踏み出した最初の夏。実行委員会の渡辺雄一さん(40)は「少しずつ町民のつながりが復活していけば」と期待している。

     原発事故前、町の夏祭りは8月14~16日、盆踊りなどの「うちわ祭り」、県重要無形民俗文化財「麓山の火祭り」、川遊びの「富岡川フェスタ」、灯籠流しを行っていた。今年は1日限定で、うちわ祭りだけが復活した。

     うちわ祭りを仕切ってきたのは町商工会青年部だ。電気工事会社を営む部員の渡辺さんも、父親の代から運営に携わってきた。しかし、原発事故で帰還を諦め、避難先のいわき市などで事業を再開した。

     「今頃、屋台でクレープを焼いていたのに」――。この6年間、夏が来る度に祭りを思い出した。各地に避難して事業の継続を断念した人も多い中、祭りの再開は現実的ではなかった。

     ところが、町は6月、避難指示解除後も町外へ避難した人々とのつながりを維持しようと、祭りの再開を決めた。ただ、渡辺さんは避難先からの通いで、準備期間も短く、無事開催できるのか半信半疑だった。かつて10人以上いた現役部員のうち、原発事故前からのメンバーは4人だけ。祭り運営の詳細がわからず、「当時はどうだったの」と尋ねられて答えられないことも。やぐらの組み方すら知らない。

     それでも、OBやボランティアに手伝ってもらい、前日の10日、7年ぶりにやぐらがお目見えした。部品やパーツも不思議なほど傷んでいなかった。「昔のままだ。何とかなる」。ようやく復活に自信が持てた。

     祭り当日。音楽ライブやよさこい演舞に続き、6時から盆踊りがスタート。太鼓の演奏に合わせ、約200人が輪になって踊った。その光景を見ながら思った。「昔の町を完全に取り戻すのは難しい。町に帰らなくても町への愛着があるからこそ、足を運ぶ人がたくさんいるんだ」

    2017年08月13日 10時22分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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