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    知的障害者らへの強制不妊手術、3地裁一斉提訴

    • 国を提訴するため東京地裁に入る不妊手術を強制された男性の弁護団ら(17日午前)
      国を提訴するため東京地裁に入る不妊手術を強制された男性の弁護団ら(17日午前)

     旧優生保護法に基づき、知的障害者らが不妊手術を強制された問題で、北海道、宮城県、東京都在住のいずれも70歳代の男女計3人が17日、同意なく不妊手術を強いられ人権を侵害されたなどとして、国に1100万~3850万円の賠償を求める訴訟を札幌、仙台、東京の各地裁に一斉に起こした。

     裁判外では国会議員による立法での救済の検討も進められており、訴訟の行方が注目される。

     訴状などによると、原告3人は1950~60年代に、それぞれ不妊手術を強制された。原告側は「子供を産み育てるかどうかの自己決定権を奪われた」として憲法が保障する幸福追求権を侵害され、精神的苦痛を受けたなどと訴えている。

     また、原告側は、旧優生保護法が1996年に母体保護法に改正された後も救済措置を取らなかったとして、国や国会の不作為も追及する。

     一方、原告3人には手術を受けたことを直接裏付ける公的記録が残っておらず、関連資料や体に残る手術痕、家族の証言などを主な証拠とする。訴訟では、手術の事実をどう立証するかも争点となるとみられる。

     強制不妊手術を巡っては、宮城県内の別の女性が今年1月に仙台地裁に提訴したほか、北海道の夫婦も中絶と不妊の手術を強いられたとして提訴を予定している。

     今月27日には全国弁護団が結成される予定で、共同代表に就任する新里宏二弁護士(仙台弁護士会)は「訴訟によって、多くの被害者が声をあげられる環境を作りたい」と話している。

     厚生労働省母子保健課は「いずれも訴状が届いていないので、コメントは差し控える」としている。

     ◆優生保護法=ナチス・ドイツの断種法を参考にした戦前の「国民優生法」を引き継ぐ形で1948年に施行された。「不良な子孫の出生防止」を目的に、知的障害者や精神疾患患者らに不妊手術を行う根拠となり、都道府県の審査会が認めれば本人同意も不要とされた。96年に母体保護法に改正され、強制不妊手術の条文などは削除された。

    2018年05月17日 14時22分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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