衝突、証言に食い違い…ライトや回避行動で防衛省と漁船側 海上自衛隊のイージス艦「あたご」(艦長・ 特に問題なのは、近くの僚船が清徳丸から無線で「(あたごに)ライトで照らされた」という連絡を受けていた点。無線があったとされるのは衝突の10分前で、事実であれば、あたごは衝突のかなり前から、衝突の危険を察知していたことになる。発生から丸2日が経過する中、謎は深まるばかりだ。 ◆回避行動の謎◆ あたごは房総半島沖を海自横須賀基地に向かって航行中の19日午前3時55分、清徳丸のものとみられる赤色の灯火を発見した。防衛省の説明では、その後、あたごが停止するために急制動をかけたのは11分後の同4時6分。清徳丸は約100メートルにまで迫っていた。当時のあたごの速度は約10ノット(時速18キロ)で、停止までは通常数百メートルを要することから、急制動だけではとても間に合わないタイミングだった。 ある海自関係者は「漁船と接近した場合、回避行動としては、右に ◆食い違い◆ 当時、現場付近の海域を航行していた僚船の船長(63)は、清徳丸の船主で行方不明になっている 無線があったのは午前4時前。このライトが相手に警告を発する「パッシング」なら、あたごは衝突の10分ほど前に危険を察知していたことになるが、実際は衝突の1分前まで自動 あたごが「警笛」を鳴らしていないことも、この見方を裏付ける。海上衝突予防法では、他の船舶と接近していて衝突の危険がある時には直ちに警笛を鳴らすと規定しているが、僚船は警笛を聞いていない。 「本当にライトを照らしたとすれば、清徳丸の接近を認識していたことになり、自動操舵を続けたという事実とも矛盾する」と、ある防衛省幹部は語る。 ◆見張りの実態◆ 当時、あたごは艦橋の左右に1人ずつ、後部甲板に1人の計3人の見張り員を配置。レーダー員も2人が画面を監視していた。防衛省側は「通常通りの体制だった」と強調する。 しかし、清徳丸の前方を走っていた僚船の「幸運丸」の船長、堀川宣明さん(51)によると、幸運丸は19日午前3時半の時点で、あたごとみられる船を6カイリ(約11キロ)先にレーダーで確認して、あたごを避けていた。漁船のレーダーで感知できたことが、あたごのレーダーでなぜ分からなかったのか疑問が残る。 また幸運丸のほか、「金平丸」と「康栄丸」もあたごと異常接近し、金平丸の船長の市原義次さん(55)は「危険を感じて左右に舵を切った」と説明する。これまでの防衛省側の説明に登場する漁船は、清徳丸と別の1隻だけ。当時、海域にいた漁船団を見張り員がどの程度、認識していたかも不明だ。 (2008年2月21日14時31分 読売新聞)
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