冤罪被害者、元被告、遺族…裁判員制度へ思い交錯21日に始まる裁判員制度は、刑事事件の加害者、被害者の双方に大きな影響を与える。従来の裁判を経験してきた元被告や遺族らは、市民が「裁く立場」に加わることをどう受け止めているのか――。 ◆冤罪被害者◆ 「逮捕されたから犯人だと先入観を持たず、法廷での被告の言葉に耳を傾けてほしい」。富山県氷見市で2002年に起きた婦女暴行・同未遂の 柳原さんは、取調官に自白を強要され、懲役3年の実刑判決を受けて服役した。「取り調べが全面的に録音・録画されていない現状では、被告が勇気をふるって公判で自白を覆しても、裁判員はそれを信じていいのか判断できない」と、今のまま裁判員制度が始まることに不安も隠さない。「被告が刑を受けた後に無実と分かったら、裁判員は一生苦しむ。裁判官と弁護士も捜査の疑問点をしっかり指摘しないといけない」と強調する。 ◆元受刑者◆ 約10年前、埼玉県内で強盗致死事件を起こして懲役9年の実刑判決を受けた50歳代の男性は、判決後に裁判長が付け加えた「9年なら十分にやり直せる期間だと思います」という一言が忘れられない。 金銭を巡るトラブルで被害者と争い、死なせてしまった。被害者への申し訳なさと、自分の妻子を悲しませたつらさ。裁判長の言葉を支えに、長い服役に耐えたという。「公判で言い分をよく聞いてもらえたことも、『出所までがんばろう』という気持ちにつながった。裁判員が入るからといって、審理は簡略化するべきではない」と話す。 ◆遺族◆ 1999年に東名高速で飲酒運転のトラックに追突され、3歳と1歳の娘2人を失った井上保孝さん(59)、郁美さん(40)夫妻(千葉市)は、「一般の人は、飲酒運転は許せないという素朴な感覚が強いはず」と、裁判員の量刑に期待する。 事故当時、業務上過失致死傷と道交法違反(酒酔い運転)の両罪を合わせた法定刑の上限は懲役7年で、運転手の刑は懲役4年にとどまった。「裁判官の量刑は、チェックリストのように様々な事情を機械的に当てはめているように思えた」と、保孝さんは振り返る。夫妻の署名活動が実り、懲役20年まで科すことができる危険運転致死罪が創設された。同罪は交通犯罪の中で唯一、裁判員制度の対象事件。郁美さんは「裁判官の判断に裁判員が引きずられないためにも、裁判員の体験を検証できる仕組みが必要では」と提言した。 裁判員は重大な少年事件も担当する。「少年犯罪被害当事者の会」代表の (2009年5月20日15時44分 読売新聞)
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