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在日社会・被爆地・拉致被害者家族の間に怒り、無力感

 北朝鮮が2006年10月に続き、2度目の核実験に踏み切った25日、全国各地から強い抗議の意思とともに、大きな落胆と戸惑いの声が次々にあがった。

 これで日朝関係はどうなるのか。「北の核」の脅威は、さらに強まることになるのか。国際社会の声に耳を貸そうとせず、核開発を進める北朝鮮の姿勢に、拉致被害者の家族や在日社会、そして被爆地の広島・長崎の人たちの間には、怒りとともに無力感が広がっている。

 「あの国には、いつも怒っているが、もうくたびれました。何とかならないものでしょうか」。正午前に川崎市の自宅で北朝鮮の核実験実施を知ったという横田早紀江さん(73)は、同日夕、自宅前で読売新聞の取材に応じた。

 北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した当日の先月5日、早紀江さんは飯塚繁雄さん(70)ら拉致被害者家族の仲間とともに東京・銀座の街頭に立ち、「各国が心を一つにして北朝鮮をいさめ、早く子供たちの救出を」と訴えた。今月6日に都内で開かれた集会では「(娘のめぐみさんら)平和の国の若者が連れて行かれ、人生を変えられてしまった。そんなつもりで育てたのではない」と声をふり絞った。

 ミサイル発射から2か月もたたないうちに実施された核実験。早紀江さんは「あいかわらず、またやったなという感じしか持ちません。長年そういう目にあっていますから」と話し、夫の滋さん(76)も「食糧不足で困っている中で、こんなことを行うなんて」とやりきれない表情だった。

 焼き肉店や韓国食品店が立ち並ぶ川崎市の「コリアンタウン」やその周辺では、不安の声が上がった。

 同市川崎区の韓国食品店の店員で、韓国籍の李ヒョンスクさん(37)は「北朝鮮が核を持っている限り、何が起こるかわからない。力を誇示するのが恐ろしい」と話した。同区の在日大韓基督教会川崎教会で牧師をしている韓国籍の在日3世、金健(キムコン)さん(49)も「核兵器削減に向けた国際社会の動きに逆行する行為」と厳しく非難しながら、「街の人たちへの差別が起きないか心配」と話した。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は25日が「結成記念日」で休みだったことから、東京・千代田区の朝鮮総連中央本部は門も閉じられ、ひっそりとしたまま。在日本大韓民国民団(韓国民団)は、「人類の切実な平和への努力を破壊しようとするもので、決して許すことはできない」などとする抗議声明を出した。

 この日の夕方、広島県原爆被害者団体協議会(県被団協)などは広島市中区の平和記念公園で、北朝鮮の核実験強行に抗議する座り込みを行い、計約130人(主催者発表)が「ヒロシマからすべての核実験に強く抗議する」などと書かれた横断幕を掲げ、無言で北朝鮮への怒りを示した。険しい表情で座り込みに参加した被爆者の吉岡幸雄さん(79)は「北朝鮮はこれまでも、核開発などで国際社会を裏切り続けており、本当に腹立たしい」と語った。

 長崎原爆遺族会の正林克記会長(70)も「核兵器に頼る政策は誤りだと北朝鮮は早く気づいてほしい」と語気を強め、「核の傘ではなく、不戦の傘をつくるべき。日本政府も平和のリーダーならば、北朝鮮を孤立させず核兵器のない世界に向かわせる方法を考えて」と要望した。

2009年5月26日03時07分  読売新聞)

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