JR「直線で」、長野「迂回を」…リニア新幹線ルート調整本格化JR東海が首都圏―中京圏で2025年に開業を目指すリニア中央新幹線(最高時速500キロ)のルート選定作業が本格化してきた。 JR東海は、候補の3ルートのうち南アルプス直下を貫通する「直線ルート」の建設費が最も安いとする試算をまとめるなど、直線ルートの優位性を強調している。これに対し、長野県などは、 JR東海は18日、南アルプスを北へ迂回して伊那谷を通るルートの建設費が5兆7400億円、木曽谷を通るルートが5兆6300億円になるとの試算を公表した。これは、07年12月公表した直線ルートの建設費(5兆1000億円)を1割以上も上回り、差額は同社の09年3月期の税引き後利益(1260億円)の4〜5年分にあたる。 迂回ルートの建設費が高いのは、直線ルートより長い分、軌道建設や用地買収の費用がかさむためだ。1日当たりの運行本数を一定とした場合、往復に要する時間が長いためより多くの車両を確保する必要があり、費用も増えるという。 JR東海が直線ルートに傾いているのは、迂回ルートは地上走行(非トンネル)区間が長く、「用地買収に時間がかかって計画が遅れる恐れがある」(金子慎常務)という面もある。同社の長期債務残高はピーク時の25年度に4兆9000億円に膨らむ見通しで、開業が遅れれば返済計画に狂いが生じかねない。 JR東海は、一連の試算結果を「判断要素になる客観的なデータ」(松本正之社長)として自治体などに示し、直線ルート建設への理解を求める考えだ。 一方、首都圏と中京圏に置くターミナル駅以外の「中間駅」について、JR東海は、沿線の神奈川、山梨、長野、岐阜の4県に1駅ずつ設置する方針を打ち出した。同社は「1駅止まれば6分のロスが生じる」としており、東京―名古屋を最速40分で結ぶというリニアのメリットを生かすためには駅の数をなるべく少なくしたいという思惑がある。 また、数百億円規模とされる駅の建設費は全額、地元負担を求めている。「運営はJR東海が行うので、駅が増えれば、人件費や修繕費などの維持・運営コストが毎年かかる」(JR関係者)という不満が根強いからだ。今後、設置場所を含めた沿線自治体との調整が焦点となる。(中部経済部 中村紘子、経済部 山下福太郎) (2009年6月22日03時03分 読売新聞)
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