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看護の手、自宅の寝たきり高齢者に届かず

お年寄りの自宅を訪問し、診察する医師=及川昭夫撮影

 東日本巨大地震の発生後、寝たきりのために避難所に行けず、自宅で過ごす高齢者に看護の手がなかなか届かない。

 医師や看護師が避難所での診療に追われ、訪問看護ができなくなっているためだ。看護師らからは「訪問したくてもガソリンがなく車が動かせない」という悲鳴もあがる。津波で壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町では、数十人のお年寄りとその家族が不安の中で助けを待っている。

 「助けの神が来てくれた」

 家屋の7割が津波で破壊された南三陸町。内陸寄りに位置する同町入谷地区の主婦、菅原みち子さん(60)は21日、神奈川県から派遣された医師の訪問に安堵(あんど)の表情を浮かべた。医師が来たのは11日の地震発生以降初めてだった。

 義母のはる子さん(90)は寝たきりで、自分では寝返りや排尿ができない。電気や水道が止まり、余震も恐ろしかったが、みち子さんは「寝たきりなので避難所にまで連れて行けない」と会社員の長男(33)と共に自宅にとどまった。

 地震前は、2日に1度の割合で看護師の訪問看護を受けていた。しかし、津波で町の中心部にあった公立志津川病院が損壊、病院内の訪問看護ステーションも機能しなくなった。

 この間、はる子さんは次第に排尿量が減り、顔もむくんできたが、みち子さんはどうすればよいのか分からず、不安を抱えながら介護を続けていた。

 この日、医師が排尿用の管を交換し、「頭痛がする」と訴えるはる子さんを診察して「異常はありません」と伝えると、安心したはる子さんは「ありがとうございました」と笑顔を浮かべた。ただ、次の訪問日は分からない。みち子さんは「避難所に行けない高齢者にも診療の手をさしのべてほしい」と訴える。

2011年3月26日14時34分  読売新聞)

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