陸前高田一本松、新芽や樹液…感じる生命力東日本大震災の津波で大きな被害が出た岩手県陸前高田市の景勝地「高田松原」で、唯一残った〈奇跡の一本松〉。 松の周囲に海水がたまることもあり、葉が赤茶色に変色、立ち枯れの心配も出始めた。10日には土中に海水が浸入するのを防ぐため、周囲に長さ約6メートルの鉄板約150枚を打ち込む工事がスタート。復興のシンボルを守ろうと、ボランティアたちの保護に向けた作業が続いている。 ◆鉄板◆ 長さ2キロの砂州は津波で大部分が流失、一本松の葉は5月下旬から赤茶色に変色を始めた。ボランティアで保護活動に取り組む財団法人日本緑化センター(東京)の滝邦夫さん(59)は「周囲から海水が入り込み、一本松の根元は水浸しの状態とみられる。根が窒息して腐り始めているのでは」と指摘する。 このため、同センターなどでは、長さ6メートルの細長い鉄板を松の周囲15メートル四方にすきまなく埋め込むことにした。土中から浸入する海水を防ぐためで、10日午前、クレーンを使って鉄板を地中に打ち込む作業を始めた。近くポンプを使って、土中にたまった海水をくみ出すことも検討している。 ◆「こも」◆ 問題は海水だけではない。周囲の松林がなくなったことで、一本松は潮風や強い日差しを一身に受けている。幹が高温にならないよう、「こも」やビニール製のネットを巻き付け、根元の表土が適度な湿度や温度を保つようワラも敷き詰められた。 しかし、地盤沈下などで海水面が近づき、満潮時には根元に海水がかぶることもしばしば。根の周囲に高さ約2メートルの土のうなどを積み上げているが、松の保全に詳しい、大阪工業大の小川真客員教授は「松が生息するのにはギリギリの環境。いずれ枯れてしまう恐れもある」と心配する。 ◆新芽◆ 先月28日の調査では、赤茶色に変色した葉の上から、わずかだが新たな葉が芽吹いているのが確認された。樹皮をはがすと樹液も流れ出した。 (2011年6月10日14時41分 読売新聞)
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