派遣社員 駆け込み急増解雇、賃金不払い 労基署「年度末悪化も」「派遣切り」などを言い渡された派遣社員が派遣元の賃金不払いや解雇のトラブルを巡り、労働基準監督署に労働基準法違反の訴えを申告する件数が増えている。愛知県内の労基署に昨年1年間、派遣社員が申告し、処理された件数は462件あり、前年比で3割以上増加した。年度が変わる今月末に契約が切れる派遣社員が多いことから、各労基署では「さらに賃金不払いなどの労働トラブルが急増するのでは」と危機感を持っている。 愛知労働局によると、昨年、県内14か所の労基署へ労基法違反の訴えが申告され、是正勧告や書類送検などの処理が行われたのは、全17業種で前年比16%増の2359件に上った。このうち派遣業は同36%増の462件と最多で、処理内容は賃金不払いが323件、解雇が109件だった。 名古屋市内の労基署では、昨年11、12月頃から派遣社員の相談が急増したため、臨時の窓口を増やして対応した。「6か月の有期契約の途中で契約を打ち切られた」「会社から当面、自宅待機と言われたが、休業補償があるか心配」など、悩みは深刻だ。 労基署では、監督官の調査で法令違反が判明すれば、是正勧告書を出し、それでも修正されない悪質な場合は刑事事件として書類送検している。送検された派遣会社は、罰金刑が確定すると、派遣業の許可取り消し処分を受けて、5年間派遣業ができなくなる。 労基署の担当者は「派遣会社にとっては、派遣先がすべて。コンプライアンスがしっかりした大手の派遣先との関係を考え、賃金不払いなどの重大な問題をまだ起こしていない」と分析。「今は体力が残っているが、4月以降、さらに大量の派遣社員が職を失う。賃金が支払われないケースは増えてくるだろう」と懸念している。 同市内の別の労基署でも昨年9月以降、派遣社員から「残っている有給休暇を取得できるのか」「未払いの残業代をもらってから辞めたい」との相談が急増している。監督官は不況前の2〜3倍の申告事案を抱え、定期的な監督業務まで手が回らなくなっているのが現状だ。 また厚生労働省が昨年末、大量に人員削減した派遣会社について法令違反がないか調査するよう全国の労基署へ通知している。この労基署は、これまで数十か所の派遣会社を訪れ、助言・指導を行ってきた。担当者は「辞めてからでは調べられないことも多い。労働トラブルは、なるべく早期に相談してほしい」とアドバイスしている。
(2009年3月20日 読売新聞)
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