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日本製品に使いやすさを3年4か月にわたって勤務したワシントン支局から帰任した。日本に「帰ってきた」つもりだったが、久しぶりの日本は、あらぬ方向に突っ走っているようで、何をするにも勝手が違っていて驚く。 ともあれ、新生活を始めるにはまず連絡手段。携帯電話を購入しようと、かつて足しげく通った秋葉原に行くと、巨大なビルが立つ駅前からして、何か違う。 さらに売り場では、各種の「お得な」料金プランを早口で説明されるのだが、「○○割」など珍妙な略語の連発で、日本語なのに言っていることが分からない。第一、内容が複雑過ぎて、どれが得なのかもさっぱりだ。 あまり難しい制度がなく、電話番号が登録された小さなカードの差し替えで、機種変更も気楽にできた米国が早くも懐かしい。こんな複雑な制度が通用するのは日本なればこそだ。 ようやく手にした携帯は機能満載。しかも、日本人は、数字キーとわずかなボタンで、メール作成から動画再生まで、これを使いこなしてしまう。携帯にもメール用のフル・キーボードが付き、反復操作による指の損傷が社会問題化する欧米とは好対照だ。 だが、そこに落とし穴はないだろうか。独自の進化を続ける日本のペースに、世界が付いてきていない。むしろ流れから外れてしまった感さえある。 日本企業がハイテク商品を開発するが、その孤高ぶりに市場も業界も動かない。企業がさらに技術を磨き、ようやく普及のめどが立ったころには、近隣国が廉価な対抗商品で一足早く市場を席巻している――。よくある図式が目に浮かぶ。 そんな気分を反映してか、米国のIT雑誌の日本製品紹介コーナーが最近小さくなったのが気になる。かつて一世を風靡(ふうび)したヘッドホンカセットのように、わかりやすく、楽しい「メード・イン・ジャパン」を世界はまだ待望しているはずだ。(笹沢教一) (2006年3月28日 読売新聞)
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