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クリアできるか? 「2008年問題」在京民放ラジオ5社は26日共同会見し、2006年3月にデジタルラジオ放送を運営する新たな事業会社を設立する、と発表した。いよいよ船出したデジタルラジオ。しかし、そこには「2008年問題」(民放ラジオ幹部)とも言われる、高いハードルがある。 新会社は、既存のラジオ局が制作した複数の番組を同時に放送する「マルチプレックス」方式。30−40チャンネルを編成し、放送する見通しだ。 今年5月、総務省の懇談会が、デジタルラジオ本放送の開始時期を当初の2011年から2006年に前倒しするという、「斬新と言えば斬新、大胆といえば大胆」(ニッポン放送・近衛正通常務)な報告書をまとめたことに背中を押された格好だ。 第一ハードルは飛越総務省懇談会の報告書によると、デジタルラジオ放送は2006年に東京と大阪で放送を開始。2008年までに札幌、仙台、静岡、名古屋、広島、福岡に放送地域を順次広げ、2011年から全国放送を始める予定だ。 ただ、アナログ波を完全に停止するデジタルテレビと違い、現在のアナログラジオは2011年以降も存続する。新会社の設立は「お金を出してライバルを作る」(ニッポン放送・亀渕昭信前社長)ことであり、広告収入についての整理が大きなハードルだった。 在京5社はこの問題について「広告活動はすべて放送番組事業者(既存ラジオ局)が行い、新会社はやらない。新会社の財源は、放送番組事業者が支払う電波・設備等利用料のみだ」(エフエム東京・後藤亘会長)という知恵を出すことに成功し、26日の会見に間に合わせた。 2008年、端末は?しかし、越えなければならないハードルはなお多い。 まず、現在はまったく市販されていない受信機の普及だ。後藤会長は、「メディアの価値として1000万台なければだめだ」としながらも、普及目標数を「2008年末までに500万台普及」と抑えた。最大の理由は、年間400万台前後の新車登録がある、各種自動車への組み込みのめどが立っていないためだ。 既存ラジオ局には「車載端末メーカーは、デジタルラジオが聴ける地域の割合が7〜8割になったら端末販売に踏み切る」(エフエム東京・岩村創デジタルコンテンツ開発部担当部長)との見方が強く、2008年の放送地域拡大時までに、どれだけの世帯数をカバーできるかが、自動車業界を動かすカギとなる。自動車業界には「2007年が標準部品切り替えの年」(後藤会長)という事情も絡むといい、その動向も注目される。 2008年、放送免許は?端末の普及と同様、既存ラジオ局が神経をとがらせているのは、テレビ局の免許に関する総務省の動向だ。総務省は、テレビ局が行う携帯端末・移動体向けデジタルテレビ放送、いわゆる「1セグ放送」について、2006年のスタート時には既存番組のサイマル(同時間帯に同内容の)放送に限ると決めている。 しかし複数のテレビ放送事業者は、2008年秋の放送免許切り替え時に、この枠を外して独自コンテンツを放送することを検討している。ラジオ局にしてみれば「ラジオに近い内容の1セグ放送をテレビ局が始めれば、死活問題になる」(民放ラジオ幹部)。 さらには「1セグ免許の自由度が高まり、現在のマスメディア集中排除原則が緩和されれば、テレビ・ラジオ兼営局が、1セグ放送を使ってデジタルラジオを始める可能性もある」(同)との指摘もある。 「まずは、ラジオ局自らが視聴者に支持されるコンテンツ(番組内容)を作ることが第一」(J−WAVE・八尾静雄デジタル事業局長)とはいえ、デジタルラジオ成功のためには、ラジオ局だけでなく、行政、自動車業界、携帯電話キャリアなど関連団体・業界が知恵を出し合い協力することが不可欠だ。(中村 文陽)
(2005年7月27日 読売新聞)
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