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高齢者に優しい“デジタル”高機能化が進む携帯電話や、DVD(デジタル多用途ディスク)レコーダー……。デジタル家電などの複雑な操作方法に戸惑いがちなお年寄りをターゲットに、手軽に使える商品開発を目指す企業が増えている。背景には、今後も成長が期待できる高齢者市場で、他社よりも優位に事業展開したいとの狙いがある。機能や製品の簡略化だけでなく、初心者向け取り扱い説明書を作るところも出てきた。 機能絞り込み「どうすれば、携帯電話の住所録に登録できるのか」「このボタンは、一体何に使うのか」――。 2月中旬、NTTドコモが東京・北区のドコモショップ赤羽店で開いた「らくらく電話教室」。高機能化が進む携帯電話の使い方が学べるとあって、70歳代の高齢者から、孫のように年が離れた講師役の店員に、質問が相次いだ。 電話教室は2002年4月にスタートしたが、週末を中心に関東甲信越地区のドコモショップで開催され、04年度では約9万人が参加した。その4割が、機能を絞り込んだ携帯電話「らくらくホン」の使い方を学ぶお年寄りたちだ。 NTTドコモが「らくらくホン」シリーズの販売を始めたのが、1999年。発売当初、大きな文字、三つの直通ダイヤルボタン、ボタンの押しやすさという3点に機能を絞り込んだのを、ウリにしていた。その後、「高齢者向け商品の強化は戦略上、重要」(プロダクト部)として、分かりやすさや聞きやすさといった観点から操作ボタンを光らせたり、相手の話し声がゆっくり聞こえたりする独自機能も追加した。 「高齢者がいったん携帯電話を知ると、もっと通話したいという気持ちが高まる」。NTTドコモの予想通りに、高齢者や障害者らに大好評で、昨年末までに計670万台を売り上げるヒット・シリーズとなっている。 携帯電話業界では、高齢化の進展で、今後もこうしたニーズが増えると見ており、旧ツーカーグループも簡単に使える携帯電話「ツーカーS」を販売している。 説明スッキリシャープは昨年6月から、DVDレコーダーの取り扱い説明書を全面的に見直し、簡素化した。 従来の2冊で330ページと分厚かった説明書と比べ、完成した初心者向け説明書はわずか43ページ。大きな字体とイラストで図解し、録画や再生の基本操作を手順に従って説明した。巻末には困った時に参考にできる用語集もまとめた。 新たな取り扱い説明書の検討作業を始めたのが、昨年2月。DVDレコーダーの購入者から、「使い方が分からない」などといった基本操作や用語についての問い合わせが目立ってきたことに気づいたからだ。問い合わせは60歳前後の年代が多かったため、「まず使い慣れたビデオとの違いから説明し、初心者でも簡単に分かる」(AVシステム事業本部の今井隆洋さん)新たな説明書作りに乗り出した。 3か月間にわたった見直し作業で、最も重視したのが56〜70歳までの高齢者モニターに試してもらうテスト。説明書を見ながら、ちゃんと録画や再生ができるか確認し、最終的な形になるまで7回書き直した。効果はてきめんで、昨年6月から商品に付けると、問い合わせ件数は以前と比べてほぼ半減したという。 松下電器産業も昨春から、DVDレコーダーのリモコンの仕様を大幅に変えた。表面に約50個あったボタンを、内蔵するなどして28個にまで減らした。新リモコンでは、「再生ナビ」などと大きく表示されたボタンを押すと、音声ガイドに従って画面操作できるようにした。ファクスやプラズマテレビなど、家電全般の操作方法の簡略化にも取り組む。 大きなボタンカメラ業界では、オリンパスが3月、初心者でも使いこなせる操作性と高性能を兼ね備えたデジタルカメラを発売する。顧客調査を重ねてカメラの液晶画面の操作を簡単にし、よく使う機能だけに絞って大きなボタンを配置した。 高齢者や障害者などが使いやすいような製品作りなどを提唱してきた、全国ユニバーサルサービス連絡協議会理事の井上滋樹さんは「高齢者抜きに市場は成立しなくなってきた。使い手の不便さを作り手が解消することが、売れる条件になった。今後は、孫や子供も含めてニーズを判断していかないといけない」と分析する。 (2006年2月28日 読売新聞)
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