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ネット戦国時代

楽天・ヤフー・アマゾン、仮想商店街で火花

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書籍やCDなど大量の商品が集まるアマゾンジャパンの物流センター。日本有数の電子商取引サイトによる仮想商店街事業への参入は、ライバルの脅威になりそうだ(千葉県市川市で)

 ネット書籍販売最大手のアマゾンが、楽天、ヤフーの2強が覇を競う「仮想商店街」事業に参入することで、三つどもえの“戦国時代”が幕を開ける。ネットビジネスでは、魅力ある店や商品を、いかに自らの陣営に加えてライバルに差をつけるかが勝負を分ける。生き馬の目を抜くネットビジネスの最前線をみる。

 「楽天市場で実績を上げていらっしゃるようですね。ぜひヤフー・ショッピングにも出店していただけませんか?」

 楽天の「楽天市場」に出店する「グランド・ヒル 福屋酒店」(福岡県)に、ヤフーから月に1〜2回のペースで電話が入り始めたのは、昨年夏のこと。

 お目当ては、楽天市場で販売している焼酎「赤兎馬(せきとば)」。製造元から頼まれて販売を始めたところ、「おいしい」というネットの書き込みをきっかけに人気が出た。地元の限られた小売店でしか買えない販路の狭さが、かえって「幻の焼酎」と評判を呼び、人気が一気にブレーク。赤兎馬はここ2年ほど楽天市場の焼酎売り上げランキングでトップの常連だ。

 「大きく育ててくれた楽天に感謝しているが、販路をさらに増やしたかった」(グランド・ヒルの浜地智之取締役)として、5月からは「ヤフー・ショッピング」にも出店した。

 ヤフーがライバルへの出店要請を強めたのは、井上雅博社長が04年暮れに出した「大号令」からだ。

 「とにかく出店数を増やせ。そのためなら営業担当者を増やしてもいい」

 当時の出店数は3000弱。それが今は1万1000店を超え、先行する楽天まであと5000店に迫った。井上社長の言葉通り営業社員も3倍に増えた。一定期間の出店料を無料にするキャンペーンを打って、営業攻勢を加速させる。

 出店数の増加は、月々の出店料、売上高に応じて出店者から受け取る手数料などさまざまな面で収益の向上に結びつく。追い上げられた楽天も必死だ。

 楽天は、8月までの新規出店に限り、出店料が月額3万9800円と同等のサービス内容で、出店から1年間は月1万9500円の格安プランを設定した。ヤフーの出店料1万9800円を意識した料金だ。

 楽天営業開発本部の大越正規本部長は「楽天市場は出店者が自立できるよう、売れる店づくりのノウハウを提供してきた。単に自動販売機の置き場所を提供するだけのビジネスはしていない」と、ライバルとの差別化に自信を見せる。

 楽天は全国に拠点網を巡らせる構想を進める。楽天の担当者と出店者が直接会う機会を増やし、電話やメールのやり取りではできない、きめ細かいアドバイスを行うためだ。「仮想」世界で成長した楽天が、対面の重要性という「現実」にも目を向け始めた。

 7月11日に札幌市で開かれた札幌支社開設パーティーで、三木谷浩史社長は「地域に根差したサポート体制の構築を目指します。二人三脚で頑張りましょう」と訴えた。これを聞いた丸源後藤水産(旭川市)の後藤敏寛社長も「担当者との連絡が密になり、販売強化につながる」と期待する。

 2強の激戦地に参入するアマゾンの戦略はどうか。

 アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は「アマゾンのサイトに来てくれたお客さんには、第三者(出店者)の商品であっても、アマゾンで買ったと思ってもらえるサービスを提供したい」と話す。

 楽天やヤフーでは複数の小売店で買い物をした場合、原則として店ごとに代金を決済しなければならないが、アマゾンでは、どの店で購入しても一度の代金決済で済むネットならではの新しいシステムを導入する考えだ。

 出店攻勢のヤフーに出店企業支援で応戦する楽天。豊富な品ぞろえと集客力が武器のアマゾン。それぞれの戦略で決戦に挑む。(永田毅、竹内和佳子)

仮想商店街
 電子商取引を行う店がインターネット上に集まった商店街。97年に開設された最大手「楽天市場」と周辺事業の販売総額(05年12月期)は3357億円と、百貨店大手・松坂屋の売上高に匹敵する。収益の柱は、定額の出店料や、売上高に応じたロイヤルティー(手数料)、広告枠の販売など。手数料は楽天市場が売上高の2〜5%、ヤフー・ショッピングが同0〜4・5%。

2006年7月26日  読売新聞)
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