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ゲームソフトから学ぶ 実用目的に活用の動き

「DS」脳トレ・検定 医療を模擬体験

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東京ゲームショウで披露された「どこでもヨガ」のデモンストレーション

 遊びのために生まれたデジタルゲームを勉強や医療など実用目的に活用しようとする動きが盛んになっている。子供たちに有害との議論もあったゲームは役立つメディアとして定着するだろうか。(佐藤憲一)

 先月、千葉市の幕張メッセで開かれた東京ゲームショウ。派手な音や映像で見せる展示が多い中、ゆっくりとヨガのポーズを決める女性が目についた。コナミの新作ソフト「どこでもヨガ」のデモンストレーションだ。実際のゲーム画面をのぞくと、立体的な画像や指示を見ながら、様々なポーズの仕方を学ぶことができる。

 このような学習・実用ソフトは、携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」用に数多く登場している。04年末のDS発売当初は、アクションや冒険など娯楽目的のソフトが大半だったが、計算ドリルや漢字書き取りで脳を活性化する「脳を鍛える大人のDSトレーニング」(05年発売)が2作合わせて1700万本を超えるヒットになった。

 その波及効果で、DS本体も国内だけで2000万台の爆発的売れ行きを示し、英語検定から世界史の教科書、料理レシピ、旅行ガイドまでさまざまな学習・実用系ソフトが発売されるようになった。最近は新登場のDSソフトの半数が学習・実用目的だ。京都府八幡市のように、中学の英語の授業でDSを活用する試みも出てきている。

 任天堂広報室の皆川恭広さんは、「当初から教育が念頭にあったわけではない。ゲーム人口を増やそうと、タッチパネルや音声認識など簡単な操作を意識した機能がたまたま適していた」と話す。

「有害」独り歩き

 一方、「シリアスゲーム」という考え方も注目されている。社会問題の解決や啓蒙(けいもう)活動にゲームを役立てようというアメリカ生まれの概念だ。先月末、東京大学で開かれた、日本初のデジタルゲームの国際学術会議「DiGRA2007」でも主要テーマの一つとなった。

 参加者の一人で『テレビゲーム教育論』(東京電機大学出版局、藤本徹訳)の著者、マーク・プレンスキーさんは、米国で開発や研究が進んでいる医療や職業のシミュレーション(模擬行動)ソフトを紹介。「複雑な意思決定を必要とする市販のゲームを通じても、子供たちは、さまざまなことを学んでいる。そのことを大人は理解するべきだ」と主張した。

 また、長時間ゲームをすると子供が引きこもりや切れやすい状態になるという「ゲーム脳」説が5年ほど前、マスコミなどで盛んに取り上げられたが、精神科医の香山リカさんは「根拠の薄い有害論が独り歩きしてしまっているのでは」と指摘した。

メディアの可能性

 一般論でいうと、米国では公的な財団などがスポンサーとなり、医療や啓蒙目的のゲーム開発が盛んだが、商業的な採算性にはまだ課題がある。それに比べ、日本では、有用性の議論が十分なされないまま、DSの成功で学習・実用性の高いソフトが自然と普及し始めているのが現状のようだ。

 一方、日本でも、シリアスゲームの開発を本格的に行う動きが出てきた。昨年設立されたSGラボ(東京)は、ゲームソフト会社大手のスクウェア・エニックスと出版社、学研の出資。企業や財団の依頼を受け、謎解きをしながら会社の活動に理解を深めたり、木を植えることでCO2を減らすゲームなどを手がけてきた。

 前田徹哉社長は、「ゲームをすると頭が悪くなるといった誤解はまだ社会に残っているが、ゲームを通じて学ぶことが今後、当たり前になっていく」と話す。

 日本にシリアスゲームの概念を紹介してきた研究者の藤本徹さんは、「ゲームには単なる知識だけでなく、実際の体験で覚えられる強みがある。娯楽として生まれたマンガが学習や啓蒙活動に使われるようになったように、メディアとしてのゲームの可能性も広がっていく」と予測している。

2007年10月29日  読売新聞)
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