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(2)投稿サイト ヒット生む米国内ではテレビ放映も宣伝もされなかった日本の人気アニメが、その米国で6万セットもDVDが売れるヒットとなっている。 アニメは、破天荒な女子高校生の学園生活を描いた「涼宮(すずみや)ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」。日本で売れたのは8万セットだから、米国販売分は4分の3にも相当する。きっかけは、世界中のインターネット利用者から寄せられた映像を、無料で公開している米動画投稿サイト「ユーチューブ」だった。 2005年に始まったユーチューブは、テレビ局はもちろん、出演者などから「勝手に映像を使われた」などと著作権の侵害を批判されて来た。ネット利用者が著作権などお構いなく、投稿・公開するためだ。 「涼宮ハルヒ」も日本で06年にアニメ化されると、すぐに「海賊版」がユーチューブで1億回以上も流された。ファンが録画した映像に英語の吹き替えや字幕を付けたものだが、それで米国内に知られるようになり、人気に火が付いた。 あまりの人気ぶりに、配給元の角川グループホールディングスが動いた。当初は「著作権侵害」と削除を求めていたが、方針を転換し、08年1月、ユーチューブを傘下に置く米グーグルとの提携に踏み切った。 提携の柱は、画像や音声を自動識別する技術を使って角川作品に関連する投稿動画を見つけ出し、角川の独自基準で公開か非公開かを決めることだ。例えば、テレビ放映後DVDが発売されるまでは、宣伝にもなるので一部画像の公開を認める一方、著作権侵害が著しい場合は公開させずに、投稿者に警告する。 動画投稿サイトの著作権侵害が消えたわけではない。いじめの映像が流されるなど倫理的な問題も少なくない。だが、利用者が急拡大する中、番組制作側も宣伝などへの影響力を無視できなくなり、共存共栄を目指さざるを得なくなった。 テレビ業界も、ネットでの動画配信を加速し始めた。米テレビ局大手CBSは06年10月、ユーチューブと提携したところ、わずか1か月間で深夜番組の視聴者が10万〜20万人増えた。CBS幹部は「ユーチューブは新しい視聴者を番組にもたらしてくれた」と話す。 これに対し、日本のテレビ局は、「番組をネットで流せば視聴者が減り、2兆円規模のテレビ広告ビジネスが脅かされる」(日本経団連の上田正尚・情報グループ長)と依然慎重だ。 動画投稿サイトが火を付け、急速にビジネス化する動画配信。著作権の扱いなど課題は多いが、どう取り込むかがカギになる。 ◆連載「ネット社会」へのご意見・ご感想はこちらへ (2008年8月7日 読売新聞)
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