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合鍵、防犯ブザー、子供の位置確認……相次ぐケータイ利用の防犯サービス

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エントランスホールの読み取り機に、おサイフケータイを近づけるとオートロックの扉が開錠する

 安全を実感する“体感治安”が悪化している。内閣府による昨年の世論調査では半数近くの人が「治安が悪い方向に向かっている」と答えた。登下校中の子供の殺害、ピッキングによる空き巣、強盗の続発など、身近に犯罪のニュースを聞かない日はない。そこで注目されているのが、携帯電話を住居の鍵や子供の防犯ブザー、非常時の位置確認などに利用する防犯システムだ。

 おしゃれな街、自由が丘にほど近い東京・世田谷のとある閑静な住宅街。ここに総戸数47戸のマンションが竣工したのは昨年3月のこと。何の変哲もない普通のマンションだが、エントランスホールでの光景となるとちょっと違ってくる。

 帰ってきた入居者がバッグから何かを取り出す。よく見ると鍵ではなく携帯電話だ。センサー部に近づけるとオートロックの扉が開く。宅配ロッカーに預けられた荷物の取り出し、エレベーターへの乗り込み、自宅ドアの開錠(施錠)もケータイ1つで済ませられる。

おサイフケータイが“鍵”になる

 開発したのは、伝票などのビジネスフォームやICカード、ラベルを開発・販売するトッパン・フォームズとKESAKAシステム(福岡市)。非接触型ICチップ「FeliCa」を搭載したNTTドコモの「おサイフケータイ」に“鍵”データをダウンロードし、開錠・施錠を行う。

 「“ケータイ鍵”には、さまざまな防犯機能を追加できます」とトッパン・フォームズ広報室部長の岡本則雄さん。例えば、携帯電話を紛失したら電話をかけ鍵データを遠隔操作で消去すればよい。また訪問する知人の携帯電話に合鍵データをメールで送り、部屋に入ってもらえる。

 防犯機能の高さがセールスポイントになり、マンションは発売後に全47戸をほどなく完売。ほとんどを独身女性が購入した。「光ブロードバンド回線と同様、携帯電話の防犯システムがマンション設備のウリになればいいのですが」と岡本さん。

GPS機能で現在位置を確認

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子供を守る繭(まゆ)をイメージしたキッズケータイ「SA800i TORICO」

 「緊急通話です……」。鼓膜が破れんばかりの100dBのアラーム音が携帯電話から鳴り響き、別の携帯電話からは非常事態を知らせる、こんなガイダンス音声が流れ始めた。NTTドコモが今春発売する子供向けの携帯電話「キッズケータイ」(SA800i)の防犯機能である。GPS(衛星利用測位システム)機能と防犯ブザー機能が付属し、ブザーを鳴らすと3つの緊急連絡先に次々と電話がかかり、居場所が携帯電話の地図画面に表示される。電源を切られても位置情報が一定間隔で通知され、バッテリーは専用工具でないと取り外せない。場所を知らせる「イマドコサーチ」サービスは月額基本料210円で、1回利用ごとに5・25円がかかる。

 KDDI(au)も子供の居場所を確認できるサービス「安心ナビ」(基本料金は無料、1回利用3円)を提供。設定場所に子供が近づくとメールで通知し、学校や塾が終わったあと、どこにいるかがわかる。

 防犯ケータイ登場の背景には、治安の悪化とともに顧客の囲い込みを急ぐ携帯電話各社の思惑も絡む。携帯電話会社を変えても現在の電話番号をそのまま使える番号ポータビリティー制度が11月に始まるからだ。

 「安心・安全をキーワードに他社と差別化したい」とNTTドコモ・プロダクト部の関崎宜史さん。

 一方、大手警備会社セコムはGPS端末と携帯電話、パソコンを組み合わせた位置確認サービス「ココセコム」を01年から既に開始しており、契約件数は26万件を突破した。

 防犯ケータイは、個人向けの防犯市場がさらに拡大するきっかけとなるかもしれない。(編集部 林 宗治/2006年2月24日発売「YOMIURI PC」4月号から)

2006年3月2日  YOMIURI PC)
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