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市場逆転で事業変革、CDシングルと音楽配信

音楽はダウンロードの時代へ、ケータイ成長も一因

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インターネットからの音楽ダウンロードは割安感もあって拡大市場(アップルの iTunes Store)

 日本レコード協会がまとめた調査によると、国内音楽配信の売上高が2006年にCDシングルの生産額を初めて上回った。音楽ソフト市場全体に占める割合も1割を超え、さらなる成長が見込まれる。

 06年の国内音楽配信の売上高が前年比56%増の534億円と、同4%増の508億円だったCDシングルの生産額を初めて上回った。まだCDアルバムの生産額(2936億円)とは開きがあるものの、DVDなどの音楽ビデオの生産額(568億円)に迫る規模に成長し、今や音楽ソフト市場の牽引役となっている。

 インターネットを利用した音楽配信は、楽曲をパソコンや携帯電話にダウンロードする仕組み。米国ではパソコン向けが音楽配信の55%を占めているのに対し、日本では携帯電話向けが90%以上を占めている。このうち5割は楽曲の一部だけが聴ける「着うた」だが、丸ごと1曲聴ける「着うたフル」が06年は前年の2・5倍に拡大した。また、パソコン向けも市場規模こそまだ小さいものの、06年は前年の2・7倍に急伸長。パソコンにダウンロードした楽曲を、アップルの「iPod」を始めとした携帯音楽プレーヤーへ移し替えて楽しむ利用法が広がっているのに加え、昨年秋には定額制の音楽配信サービス「ナップスター」が始まったことも勢いを加速させている。

 ネットによる有料音楽配信の売上高がCDシングルの生産額を上回った最大の要因は、ズバリ「単価の安さ」にある。CDシングルの多くはA面曲とB面曲にカラオケ版を付けた3〜4曲構成で1000円前後。カラオケを除いた1曲の実質単価は500円前後だ。これに対し音楽配信は、パソコン向けで100〜200円、割高といわれる携帯電話向けの着うたフルでも多くの楽曲の単価は300円前後だ。市場規模の逆転は極めて自然な現象といえる。

ケータイも“プレーヤー”化

 音楽配信の急成長の勢いに乗ろうと、携帯キャリア各社も音楽配信に対応した機種の充実を急いでいる。04年11月に着うたフルを業界で初めて導入したKDDI(au)は、今や契約者数の半分近くが着うたフル対応の機種を利用しているとしており、その累計ダウンロード数も2月半ばに1億件を超えた。自らのサイト内にズバリ「音楽ケータイ」というコーナーもある。先行したauを追い落とそうと、携帯最大手のNTTドコモや新規参入したソフトバンクも対応機種を充実させ、ドコモは音楽に動画や静止画をプラスした着信設定「着モーション」サービスも開始した。携帯電話の「音楽プレーヤー化」の傾向は顕著だ。

 一方、音楽配信の急成長で抜本的な事業構造の転換を迫られているのが、旧来のレコード会社だ。音楽配信を除くCDやDVDなど既存の音楽ソフトの生産額は06年まで8年連続で前年を下回っており、これに音楽配信による単価下落への対策が重くのしかかっている。このため、レコード各社は音楽配信での売り上げ拡大を図りながら、CDアルバムの作品としての質的向上、さらにネットでの展開もにらんだ映像ビジネスの拡大に力を入れている。

 大手レコード会社の首脳はこう語る。「これからは音と同様、映像も質の高さが一層求められる。例えば、ライブという格好の映像素材をどう生かせるか。音と映像のコンテンツ作りをどうプロデュースしていけるかに我々の今後がかかっている」

 産業構造が大きく変わろうとする中で、旧来のレコード会社には新たなクリエイティブ力が問われている。(松岡 功・フリージャーナリスト/2007年3月24日発売YOMIURI PC2007年5月号から)

2007年4月5日  YOMIURI PC)
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