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ポスト・コンピューター時代の基幹産業を日本で創る技術で世界を変える――具体的には、どんなことが実現するのですか。
原 要素技術を全部完成してからでないと、プロダクトはできません。今は、要素技術の中でも最も重要な「インデックスファブリック」の完成を目指しています。ばらばらなデータを処理することができる新しいデータベースです。 ――どこまで開発が進んでいますか。
原 これから人間に役立ちそうな技術を選んで、実用化していきます。ライフサイエンス分野が大変面白い。それからバイオの分野。大手製薬会社会長が「スーパーコンピューターを使って、DNAを解析しようと思うけれど、解析できない。コンピューターのパワーを強めるほどたくさんのデータがでてくるのに、やればやるほど解析できない量が増える」と学者たちに解決を求めました。「DNAは非構造化データなので、それに対応した理論を使えばできる」と発言したところ、大変関心を持たれています。 ――オフィス入り口には、国連マークのついた看板もかかっています。
原 国連加盟国の7割近くは途上国です。この途上国の人たちに日本が必要だと思ってもらうためには、一体何がいいのか、とずっと考えて、医療と教育だという結論に達しました。1980年に国連の職員だったことがあります。国連職員OBで作るWAFUNIFという組織が、すごく面白い。国連には組織を横断する仕組みがなく、横の連携にWAFUNIFが動いています。 NGO(非政府組織)は、すでに国連の加盟メンバーになっていて、数は加盟国よりも多い。2015年ごろには、議決権を持つようになると思います。WAFUNIFは国連が作った唯一のNGOで、国連旗を掲げられ、オフィスも国連の中にあります。日本にWAFUNIFアジア機構を作り、2012年に横浜に誘致します。 ――途上国支援も仕事ですか?
原 今、バングラデシュでプロジェクトを手がけています。アジアで最も貧しい国で、文盲率が5割以上あります。まず字が読め、数字が書けるまでもっていくのに、ポストコンピューターの新しい技術を使おうとしています。 2005年10月に「バングラデシュ医療と教育を向上させるための委員会」(BRAC)というNGOと、「ブラックネット」というプロジェクトを始めました。2011年までにバングラデシュ全土で、次世代の高速無線通信「WiMAX」によるモバイルテレビ電話を使った遠隔医療と遠隔教育を完成させます。 資本は6割が我々、4割をBRACで負担する「ハイブリッドモデル」を採用しています。NGOには株主がいないから利益を配分する必要がなく、医療と教育のために、利益を使えます。これが、公益法人改革における新しい仕組みで、テクノロジーも、法体系もバングラデシュで先にやって、日本の手本としたいのです。 ――国際貢献と投資はどう結びつくのですか?
原 先進国におけるテクノロジーも、テレビ電話会議システムも、元々は考古学でジャングルの出土品を説明するのが難しいので手がけた技術です。今まで投資して育成した会社で、考古学に役立たない技術は1社もありません。考古学は、長い時間のスパンでものごとを考えます。短期的にお金儲けしようとは思いません。お金が全くないのも困るけれど、一定以上のお金があれば、それでいい。夢のような技術ばかりに投資していて、ほとんどの場合はだめになり、お金をなくすために使っているようなものですから。 新しいビジネスモデルも2050年にできればいい、と思っています。自分が生きているうちに何とかしようなんて考えていません。その時に、次の若い人がやっていればいい。今、20以上の大学に私の本の読書会があるそうで、とてもうれしいですね。 (メディア戦略局YOMIURI PC編集部 稲沢裕子) (敬称略) (2008年1月7日 読売新聞)
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