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「サイネージ」で新たな広告市場を広告指標など作り、景観にも配慮――デジタルサイネージ上に流れる情報はどのようなものでしょうか。
江口 広告を流すのが目的ですが、それだけでは機能しません。新聞も記事があるからこそ、多くの人が広告に目を通してくれます。ディスプレーに広告映像を流せば見てくれるというわけではないのです。 時間や場所によって、人が欲しい情報は異なります。例えば、JR山手線の車内の「トレインチャンネル」はドアの上にディスプレーが二つあり、一つは次の停車駅などの運行情報を、もう一つには広告を表示しています。これがミソです。乗客にとって何より重要な情報は次が自分の降りる駅かどうかということですが、それを確認するためにわざわざ顔を上げ、運行情報の隣にある広告も見ることになるわけです。注目を集めるには、人が欲する情報が不可欠といえるでしょう。 ――注目されるのはやはり動画情報でしょうか。
江口 そうとも言えません。画面に変化があった時、人の目はそこへ向かいます。街頭広告の中に一定間隔でロールスクリーンが上下するものがありますが、情報の中身が静止画であるか文字であるかに関係なく、スクリーンが変化した時にはアイキャッチになる。動画でなくても注目を集められる手法はあると思います。 ――デジタルサイネージコンソーシアムが設立された理由は?
江口 市場が急拡大し、インフラも整備されつつありますが、マーケティング環境が変わる中、メディアとしてはまだまだ未成熟です。技術的なルールがなく、広告媒体としての指標もない。そこで、ハードメーカーやシステムベンダー、広告会社、コンテンツ所有者らが協議する場として、2007年に設立されました。 現在は135社以上の企業が参加し、技術標準、広告媒体としての指標、権利処理ルール、倫理規定を策定するため、4部会に分かれて作業中です。すでに技術的なガイドラインなどを作成し、公開しています。 ――今後、デジタルサイネージはどう発展していくと思いますか。
江口 2015年には1兆円市場に成長すると見込んでいます。絵や文字を携帯電話から送るだけで広告が出せるような仕組みを作れば、チラシ広告ですら金額が高くて手を出せない個人店舗なども広告主として参加できるようになり、今は顕在化していない新たな市場も生み出すことができると思います。 一方で、無秩序にディスプレーが普及すると景観に問題が生じかねません。映像による景観と言えば、ニューヨークのタイムズスクエアを思い出しますが、今やこれは立派な観光資源です。時間はかかるかも知れませんが、景観と調和したデジタルサイネージ環境を作り出せればと思います。 ネットの世の中になっても、人は家の中に閉じこもっているわけではなく、外出したり移動したりします。屋外でも必要な情報を提供できるメディアとして、デジタルサイネージを発展させられればと思っています。(メディア戦略局 松井正) (敬称略) (2009年2月19日 読売新聞)
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