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「サイネージ」で新たな広告市場を屋外や交通機関などのディスプレーに、情報や広告を表示するデジタルサイネージが注目されている。厳しい不況の中、新たな広告媒体としても期待が集まる。市場の発展と技術の標準化などを目指す「デジタルサイネージコンソーシアム」の江口靖二常務理事に、その可能性を聞いた。 液晶ディスプレーの低価格化で急成長――デジタルサイネージとはどういうものですか。
江口 デジタル情報を表示するサイネージ(看板)のことで、「電子看板」とか「電子ポスター」とも呼ばれています。20〜30年前から屋外の大型ビジョンで映像や広告が流れていますが、基本的にはこれと同じもので、特に目新しいものではありません。近年は、ネット技術を使って配信内容を自在にコントロールできるものが登場しており、そうしたシステムを備えたものをデジタルサイネージと呼ぶことが多いようです。 ――なぜ今、注目されているのですか。
江口 ここ5年ほどで、液晶などのディスプレーの価格が急落し、小型ディスプレーの普及が急速に進んでいます。駅や商業施設、電車やエレベーターの中など、様々な場所で一斉にメッセージを伝えられる環境が整ってきました。可能性が広がってきたことで、注目されているのだと思います。 広告市場でデジタルサイネージは「屋外メディア」に分類されます。屋外メディアは毎年20%の高い成長を示しており、媒体としての認知度はテレビに次ぐ強さです。北米や欧州の都市部で先に市場が立ち上がりましたが、最近は中国・上海や韓国・ソウルなど、アジアの都市部で急速に拡大しています。 ――メディアとしての特徴は何でしょう。
江口 時間と場所の両方をコントロールできるのが、最大の特徴です。テレビは広告を流す時間を制御することができますが、見る場所までは限定できません。ポスターは必要な場所に張り出すことができますが、それが何時に見られるかはわかりません。ところがデジタルサイネージは、夕方、東京・渋谷のハチ公前にいる人だけを対象に、飲食店の広告を出すということができます。夕方(時間)の繁華街(場所)で待ち合わせる人だけに、ターゲットを絞った広告を展開できる唯一のメディアなのです。 文字だけが流れる電光掲示板なども含めた端末は全国に40万基ほどあり、これらがネットワーク化されたら、とても大きな力を持つのではないでしょうか。 ――訴求力が強いメディアと言えそうですね。
江口 満員電車やエレベーターの中など他に見るものがない場所で、どうしてもディスプレーを見てしまう状況を作る。「強制視聴」の環境を作れるのが強みです。ロンドンの地下鉄のエスカレーターは距離が長いことで有名ですが、最近はその壁面に20インチほどの大きさの液晶ディスプレーが、1メートル間隔で並んでいます。人の移動スピードに合わせて広告や情報を送り込むわけですが、これはポスターにはない強い訴求力だと言えるでしょう。 認知度の高い場所の所有者がいて、伝えたいことがある広告主がいる。その場所に広告媒体としてデジタルサイネージを置いているのが欧米の例で、目的が非常に明確です。逆に日本では、電機メーカーがディスプレーを売りたい、配信システムを売りたいという意図から市場が立ち上がった側面もあり、この辺りの事情は少々違っています。 (2009年2月19日 読売新聞)
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