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中国版GPS「北斗」の開発加速…08年に本格運用

 【北京=佐伯聡士】2度の有人宇宙飛行に続き、今年後半に月探査衛星打ち上げを計画する中国が、中国版GPS(全地球測位システム)「北斗」について、2008年の大規模運用に向けた作業を本格化させている。軍民双方で一部運用も始まっており、台湾海峡有事などを念頭に地球規模でシステム構築を加速し、米国のGPSに対抗する狙いだ。

 米国以外のGPS開発では、欧州連合(EU)による「ガリレオ計画」が先行していたが、EUは5月、民間の協力が得られないとして計画を軌道修正、運用開始目標も08年から12年に繰り延べになった。中国は「ガリレオ計画」にも参加していたが、独自開発は遅滞なく進める方針だ。

 中国紙「中華工商時報」によると、北京市内の「北斗星通公司」では、すでに北斗システムを利用している。同社本部のスクリーン上には、中国やベトナムなどが領有権を争う南沙(スプラトリー)諸島海域で作業中の中国漁船の位置が映し出され、万一漁船が他国に拿捕(だほ)された場合は、漁船側から直ちに情報が入り、外務省が緊急対応をとれる仕組みという。サービスは漁業管理システムのほか、海運、道路・鉄道交通、森林火災対策、環境保全などにも広がっているとされる。

 現状のシステムは赤道上空に打ち上げた静止軌道衛星4個を使っており、7年をかけて整備。今年4月には、大規模運用に備えた北斗第2世代として初の周回衛星を打ち上げた。最終的には、静止軌道衛星5個と非静止軌道衛星30個を組み合わせたシステムで、米国GPSと同様、地球全体をカバーする計画という。

 同紙は、システム構築を加速する理由として、「エネルギー需要がますます拡大し、台湾海峡(中台関係)の先行きが不透明な中、独自のGPSを擁することは安全保障や経済発展にとって、どんな意義があるかは強調するまでもない」と、資源獲得競争や台湾海峡有事があることを指摘している。

 衛星測位システムは、ハイテク戦で精密誘導兵器を駆使する際には欠かせないものだ。外交筋によると、中国は台湾海峡有事の際、米国がGPSをコントロールし、中国軍が機能不全状態に陥ることに危機感を募らせているという。同紙は、関係筋の話として、以前中国軍が演習を行っていた際、米国がGPSを操作したために、関連機器が正常に作動しなくなったとする事例を紹介、「北斗」推進の重要性を強調している。

2007年6月23日  読売新聞)
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