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東芝、HD DVD撤退…米で敗北、とどめ

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米国で販路の大幅な縮小に追い込まれたHDDVD規格は窮地に立たされた(07年12月の年末商戦で店頭に積まれた東芝製再生機。ニューヨーク市、池松洋撮影)

値下げ、焼け石に水

 東芝が「HD DVD」事業から撤退する方針を固め、高画質DVDの規格を巡る約6年間の争いは、ソニーなどが推進する「ブルーレイディスク(BD)」への一本化で決着することになった。

 東芝は主戦場の米国市場でBD支持の流れが止まらず、巻き返しは難しいと判断した。国内の録画再生機のシェア(市場占有率)でBDに大差を付けられ、頼みの米国でも小売り世界最大手のウォルマート・ストアーズが15日、BD支持を表明し、とどめを刺された格好だ。(武田泰介、ニューヨーク支局 池松洋)

ワーナーが引き金

 巻き返しは可能と考えていた東芝の誤算は、今年に入って相次ぎ表面化した。

 1月上旬、「HD DVD」とBDの両規格にソフトを供給してきた米映画大手ワーナー・ブラザースがBD単独支持を表明し、米映画大手6社のうち4社、ソフトの約7割がBD陣営に回ることになった。米ビデオレンタル最大手のネットフリックスもBD支持を決めた。

 今月15日にはウォルマートもBD支持を表明し、「HD DVD」のプレーヤー(再生専用)など関連製品を6月までに店頭から撤去すると発表した。

 東芝は1月中旬以降、米国と欧州で「HD DVD」プレーヤーの最大50%近い値下げに踏み切っていた。しかし、勢いづいたBD支持の動きに対しては、もはや焼け石に水だった。

 欧米市場を「規格争いの勝敗の行方を左右する」(東芝幹部)と重視してきただけに、ワーナーの離脱とウォルマートの撤退は、東芝に根本的な事業戦略の見直しを迫った。

 東芝首脳は16日夜、「1月にワーナーがBD陣営に回ったころから(撤退を)考えてきた。近く方針を発表する」と述べ、ワーナーの離脱が撤退検討の引き金になったことを認めた。

消費者の批判も

 東芝の孤軍奮闘だった国内市場でも「HD DVD」は劣勢が続いていた。

 市場調査会社のBCN(東京)によると、昨年12月の国内の高画質DVDレコーダー(録画再生機)販売台数のシェアは、「HD DVD」はわずか5%にとどまり、95%を占めたBDに大差を付けられた。

 BD陣営は昨年秋以降、ソニーや松下電器産業、シャープが、画質の高さや長時間録画を売り物にしたレコーダーの新製品を相次いで投入し、販売の急拡大につなげた。一方の「HD DVD」でレコーダーを発売しているのは東芝1社だけで、しかも、新製品の投入は昨年末と遅かった。

 東芝が普及拡大の切り札と考えた「HD DVD」ドライブ(駆動装置)を搭載したパソコンの販売も、映画ソフトの多くがBD対応となり、目算が狂った。

 東芝の撤退で、これまで「HD DVD」陣営についていたメーカーや映画会社はBD陣営に移る見通し。

 かつて家庭用VTR(ビデオ)の規格で松下や日本ビクターが主導した「VHS」と、ソニーの「ベータ」が争い、最終的にVHSが残ったように、高画質DVDの規格争いはBDへの一本化で決着する。内外の消費者にとってプレーヤーやソフトなどの製品を選びやすい環境が整う。

 「HD DVD」から撤退する東芝の痛手は大きそうだ。関連機器の生産中止など直接的なものだけで損失は少なくとも数百億円にのぼるとみられる。すでに「HD DVD」規格の製品を購入した消費者などの批判が強まることも予想され、難しい対応を迫られそうだ。

2008年2月17日  読売新聞)
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