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パソコン、2012年春モデルの注目は?

 各社から出そろったパソコン春モデルの傾向と注目機種を教えてください。

 

今年の春モデルは、例年よりも基本性能の強化など、小規模変更の傾向が強くなっています。全体的には携帯ノートパソコンが元気です。高性能な新機種や薄型軽量なウルトラブックを始め、SSDを搭載したモデルが増えています。

図1:パナソニックの新形態ノートパソコン「Let's note SX1」シリーズ。500GBのHDDと、Office Home and Business 2010が付属する「CF−SX1GEPDR」は実売22万4800円
図2:富士通の「LIFEBOOK SH54/G」(実売価格:13万5800円)。春モデルでは、上位機の「SH76/G」(実売価格:16万9800円)と同じ、128GBのSSDを搭載する
図3:台湾アスーステック・コンピューターの「ZENBOOK UX31E」(実売価格:10万6000円)。最薄部は3mm、本体の重さ1.3kgのウルトラブック
図4:日本エイサーのウルトラブック「Aspire S3」シリーズ。春モデルではOffice Home and Business 2010が付属する「S3−951−F54D/F」(実売価格:8万8600円)が追加された
図5:スリムなスタンダードノート、ソニーの「VAIO S(SE) VPCSE29FJ/B」(実売価格:14万9800円)
図6:日本HPの直販サイト「HP Directplus」で販売される「ENVY15−3001TX 高速SSDモデル」(実売価格:13万96500円〜)
図7:テレビ機能を搭載したスタンダードノートの下位モデル。東芝の「dynabook Qosmio T551/T4E」(実売価格:10万9800円)
図8:16.4型の液晶ディスプレーを搭載するソニーの「VAIO F VPCF247FJ/S」(実売価格:12万9800円)。地デジチューナーを二つ用意する
図9:大手では最後に春モデルを投入したNECパーソナルコンピュータ。主に基本性能の強化だが、「VALUESTAR N VN570/GS」(実売価格:16万9800円)など、テレビ対応モデルは新しい録画機能が追加されている
図10:富士通の「ESPRIMO EH30/GT」(実売価格:8万9800円)。全体的に丸みを帯びたデザインに変更された低価格の液晶一体型デスクトップとなる

 春の新生活シーズンに向けて、国内外のパソコンメーカーから2012年春モデルとなる新製品が登場しました。春モデルの傾向をひと言でいうと、"マイナーチェンジが中心"となります。理由は二つほどあります。一つ目は、「Ivy Bridge」(アンビーブリッジ)と呼ばれる次期CPUの出荷が4月以降にずれ込んだこと。春モデルは引き続き、第2世代のCore iシリーズ(インテル)となる「Sandy Bridge」(サンディブリッジ)となります。

 二つ目は、昨年、タイ国内で発生した大洪水。タイでは、データを保存するのに欠かせないHDDを多数生産しています。災害後、HDDの供給量が減り、価格が上昇するなどの影響がありました。こうしたことが春モデルの一部に尾を引いています。このほか、今年後半には「Windows 8」という次期OSの登場も予定されています。こうした今後の予定を押さえつつ、気になる春モデルを10機種紹介します。

■携帯ノートへのSSD搭載が増加

 パソコン全体の中でも、一番勢いのある携帯ノートパソコンからみていきます。ここでいう携帯ノートパソコンとは、液晶ディスプレーが14型以下、本体の重さも1.5kg以下で、かばんに入れても持ち運びしやすいパソコンです。

 春モデルの注目は、パナソニックの「Let's note SX1」です(図1)。ビジネスマンに人気がある定番の携帯ノートパソコンが、フルモデルチェンジしました。Let's note S10シリーズの後継機種になります。液晶ディスプレーのサイズは12.1型と従来と同じですが、縦と横の比率が16対9に変更されています(従来機は16対10)。また、表示できる面積を示す解像度も、従来の1280×800ドットから、1600×900ドットに拡大。本体の厚さも25.4mmと、一般的な携帯ノートパソコン並みに薄くなり、かばんに収納しやすくなりました。従来機並みのスタンダードノートモデルのほか、実売16万5000円に価格を抑えたエントリーモデル(オフィスソフトなし)も、新たに用意されています。

 もう一つの注目は、富士通の「LIFEBOOK SH」シリーズ(図2)。こちらは13.3型液晶を搭載した携帯ノートパソコンです。先に述べたHDD問題なども影響してか、春モデルでは下位機の「SH54/G」にもSSDの搭載が拡充されました。SSDは、もともと読み込みと書き込みの速度がHDDより高速。さらに独自の高速起動機能「クイックスタート」によって、約6秒で元の作業画面を表示(復帰)できるようになりました。SSDはデータを保存できる容量が128GBしかなく、大量のデータを保存するには不向きですが、軽快な動作という点では期待ができます。

 このほか、インテルが提唱する薄型軽量の携帯ノートパソコン「Ultrabook」(ウルトラブック)にも新展開。前モデルにはなかった、マイクロソフトのOffice Home and Business 2010が付属するモデルが、台湾アスーステック・コンピューターの「ZENBOOK UX31E−RY256S」と(図3)、日本エイサーの「Aspire S3−951−F54D/F」から登場しています(図4)。

■スリム&長時間駆動、低価格テレビノートなど多彩な定番機

 続いては、スタンダードノートパソコン。主に14型から16.4型の液晶ディスプレーを搭載し、デスク据え置きで利用するタイプのパソコンです。最も売れるカテゴリーとあって、幅広いモデルが用意されています。そんなスタンダードノートパソコンの傾向の一つに「薄型軽量化と長時間駆動」があります。自宅内や会社内で持ち運べる重さと、カタログ値で5時間以上のバッテリー容量を持ち合わせているモデルです。

 代表的な機種は、ソニーの「VAIO S(SE)」シリーズ(図5)。フルHD(1920×1080ドット)の15.5型液晶ディスプレーを搭載しながら、本体の厚さが24.5mm、重さが2kgというスタンダードノートです。春モデルではラインアップが2モデルに強化。上位モデルとして、ブルーレイディスクドライブと、Core i7−2640MというCPUを搭載した「VPCSE29FJ/B」が登場しました。内蔵バッテリーで6.5時間駆動します。

 日本HPの「ENVY15」もバッテリー駆動時間8時間というスタンダードノート(図6)。同社のハイエンドノート「ENVY」シリーズの最新モデルです。本体にはアルミニウム合金とマグネシウム合金を採用。ダイヤル式のボリュームコントローラーをキーボードの右横に用意するほか、六つのスピーカーと二つのサブウーファーを搭載するなど、音質にもこだわっています。なおENVY15は、家電量販店で販売するモデルと、同社が運営する直販サイトで販売するモデルで性能が変わります。お薦めは直販サイトモデルの「ENVY15−3001TX 高速SSDモデル」。店頭モデルより1万円ほど価格は上がりますが、上位版のCPUが採用され、300GBと容量の大きなSSDを搭載。液晶ディスプレーの解像度もフルHDとなります。

 テレビチューナー内蔵は低価格モデルに注目。例えば、東芝の「dynabook Qosmio T551/T4E」(図7)。地上デジタル放送に対応したテレビチューナーを一つ搭載しています。チューナーが一つしかないため、2番組同時録画や録画中の裏番組視聴といった機能はありません。できるのは放送中のテレビ番組の視聴と録画だけです。CPUにもCore iより性能の劣る、Celeron(セレロン)を採用することで、実売価格は約11万円に抑えています。大画面テレビやブルーレイレコーダーの代わりに利用したいなら、テレビチューナーを二つ搭載したソニーの「VAIO F VPCF247FJ/S」などが選択肢に入ってきます(図8)。こちらの実売価格は約13万円です。

このほか、スタンダードノートパソコンの上位モデルでは、四つチップを使ってデータを同時に処理できる「クアッドコアCPU」が主流になりました。内蔵メモリーも8GBと大容量化が進んでいます。

■テレビ機能付きがそろう液晶一体型

 最後は、デスクトップパソコンです。現在の主流は、パソコン本体と液晶ディスプレーが一緒になった「液晶一体型デスクトップ」というタイプです。CPUはスタンダードノート並みですが、HDD容量が大きく、液晶ディスプレーも20〜24型と大きくなります。また国内メーカーの液晶一体型デスクトップは、ほぼ全てがテレビチューナーを搭載しています。

 春モデルでの注目は、NECパーソナルコンピュータの「VALUESTAR N VN570/GS」。21.5型のフルHD液晶を搭載したモデルです(図9)。地上デジタル放送、BSデジタル放送、CS110度デジタルに対応したテレビチューナーを二つ内蔵します。

 新モデルで目を引くのは、テレビチューナーを活用する機能の強化です。「つぶやきプラス」機能として、ミニブログサービスの「Twitter」を使った録画機能が加わりました。自分のTwitterアカウントに、録画したいテレビ番組や時間帯をつぶやくだけで、パソコンが勝手に予約録画機能を設定してくれます。このほか、最大16倍の長時間録画にも対応しています。

 もう一台の注目機は、富士通「ESPRIMO EH30/GT」(図10)。低価格な液晶一体型デスクトップで、液晶サイズは20型。地上デジタルのみに対応するテレビチューナーを一つだけ搭載しています。春モデルでは、本体のデザインを一新しました。最大30度まで傾けられるチルト機能を用意しています。最小の奥行きは、最小で18cm。スタンダードノートよりも、場所を取りません。

 各カテゴリー別に、注目10機種を紹介しました。春モデルでは新CPUや新OSという、大きなトピックはありません。その代わりに、Windows 7をより快適に使える基本性能が広く備わっています。これまでの経験として、OS最終盤に登場したモデルは、そのOSを快適に使えるモデルとなってきました。快適なWindows 7パソコンを探しているのなら、各モデルの個性を見極め、自分に合ったパソコンを選んでみてはいかがでしょうか。(テクニカルライター/原 如宏/@raitanohara)

<関連サイト>
▼パナソニック
http://panasonic.jp/pc/

▼富士通 パソコン公式サイト
http://www.fmworld.net/

▼台湾アスーステック・コンピューター
http://www.asus.co.jp/

▼日本エイサー
http://www.acer.co.jp/

▼ソニー VAIO公式サイト
http://www.sony.jp/vaio/

▼日本HP
http://www.hp.com/jp/

▼東芝 dynabook公式サイト
http://dynabook.com/pc/

▼NECパーソナルコンピュータ
http://121ware.com/catalog/

2012年2月20日  読売新聞)
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